立て替えorリフォーム?判断ポイント5つをチェックして最適な選択を
20年30年と住み続けると、そろそろ気になってくる自宅のメンテナンス。思い切って立て替えにするか、リフォームにするか、判断基準がないと迷ってしまうのではないでしょうか。
そこで、立て替えにするかリフォームにするかの判断ポイントを大公開!
自宅の状態に当てはまるものを確認して、最適な方法で自宅をリフレッシュしましょう。
立て替えとリフォームにかかる費用を比較
立て替えとリフォームですが、費用面ではどれぐらいの差があるのかをまずは確認しておきましょう。
立て替えとリフォームにかかる費用
リクルート住まいカンパニーの「2018年 注文住宅動向・トレンド調査」によると、住宅建築費用は平均2,807万円かかっています。立て替えの場合は、建築費用に加え、家屋の解体費用もプラスされるので、3,000万円以上は見積もっておく必要があります。
一方、リクルート住まいカンパニーの「2017年 大型リフォーム実施者調査」によれば、300万円以上の大型リフォームをした人たちのリフォーム平均費用は平均610.4万円でした。立て替えとリフォームでは、かかる費用が平均で5倍も違うことになり、費用面ではリフォームの方がかなり負担を少なくできるのが現状です。
このように、立て替えとリフォームでは費用に大きな差があります。ただ、この費用は平均なので、リフォームでも大がかりなものとなるとさらに費用はかかるかもしれません。立て替えにするかリフォームにするかの検討をする際、費用面の見積もりは必ず取るようにしましょう。
その前に、現在の自宅の状態がどうなっているかについて調査する必要があります。土地家屋の調査については後ほど解説します。
立て替えやリフォームで使える住宅ローン減税などの施策もチェック
立て替えやリフォームの費用を考える際、確認しておきたいのが住宅関連の費用を支援する政府の施策です。代表的なものは、住宅ローンを組んだ場合に使える所得税・住民税の特別控除で、10年間、ローン残高の1%が所得税および住民税から控除できます。
他にも、リフォームや立て替えで長期優良住宅や低炭素住宅など一定の要件を満たせば給付金が受けられる「すまい給付金」の制度もあります。こういった制度も積極的に使い、費用を見積もるときに、受けられる補助の分も計算に入れましょう。
立て替えかリフォームかを判断するポイント5つ
立て替えかリフォームかを判断するには、いくつかのポイントがあります。
- 基礎部分の傷みはどの程度か
- シロアリの食害にあっていないか
- その間取りはリフォームで実現可能か
- 接道の状況やセットバックなど再建築不可の土地でないか
- これまでに定期的なメンテナンスを行っていたか
それぞれのポイントについて解説します。
基礎部分の傷みはどの程度か
築年数が経過するにつれ、基礎部分の傷みや地盤沈下による家の傾きなど、リフォームでは間に合わないような問題が生じている場合があります。屋根の傷みが激しくて雨漏りがする、基礎部分にひびが入っているなど、建物そのものに問題がないかどうかを確認することが、立て替えかリフォームかを判断する重要なポイントです。
シロアリの食害に遭っていないか
木造住宅の場合は、シロアリの食害に遭っていないかどうかも重要なポイントです。定期的にシロアリの駆除・予防のメンテナンスを行ってきた場合は多くの場合大きな問題にはなっていませんが、そうでない場合、かなり大きな被害に遭っている可能性があります。
シロアリの食害で柱や基礎部分がもろくなっていると、大きな地震に見舞われたときに倒壊の可能性もあり危険です。このような場合は、リフォームよりも立て替えにせざるを得ないかもしれません。
その間取りはリフォームで実現可能か
ライフスタイルの変化に伴い、間取りを大きく変えたいという場合もあるでしょう。特に2世帯住宅にするなどして、水回りを増やしたり移動させたり、といった場合など、リフォームでは難しい場合もあります。リフォームするならどの程度まで間取りを変更できるのかについては、工務店とよく相談して検討しましょう
接道の状況やセットバックなど再建築不可の土地でないか
立て替えを希望しても、土地の状況から無理な場合もあります。建築基準法に定められた道路に2m以上接しなければならないという接道義務を満たしていない場合はその一例です。このような土地は不適合接道で再建築不可とされ、立て替えができません。この場合は、リフォームしか選択肢はないため、できる範囲でのリフォームを検討することとなります。
不適合接道の場合、都道府県に申請することで立て替えが認可される可能性もありますが、その場合は「セットバック」が問題です。道路の幅を4m以上確保するために、立て替えの際道路に土地を譲り、建物が建てられる面積が少なくなります。このことを「セットバック」と言い、以前よりも建物の面積が小さくなってしまいます。
このように、今住んでいる土地に問題がある場合、立て替えはそもそも選択できません。接道の状況は自治体の役所で質問すると教えてもらえるため、立て替えかリフォームかを検討する際、判断材料として確認しておきましょう。
また、接道に問題のある土地でのリフォームや立て替えは、不動産の価値が低く見積もられてしまうため、住宅ローンが組めないかもしれません。資金計画を立てる上でも、土地の接道に関してはしっかりとかくにんしておきましょう。
これまでに定期的なメンテナンスを行っていたか
立て替えかリフォームかを判断する最後のポイントは、定期的なメンテナンスをやってきたかどうかです。こまめにメンテナンスを行ってきた家は、そうでない場合に比べて傷みの度合いがかなり少なく、良好な状態を保っています。メンテナンスをしてきた家は、大幅な間取り変更がないならリフォームで間に合うケースが多いです。
例えば、シロアリの駆除や予防は定期的に行っていたか、屋根の傷みなど定期的にチェックしてメンテナンスしていたかなどを整理してみてください。この判断ポイントは、他の4つを確認した上での補助的な確認ポイントですが、立て替えかリフォームかを判断する際、重要な情報のひとつとなります。
立て替えるかリフォームかの判断に重要な現地調査
建て替えかリフォームかを判断するには、自宅の状態を調査する必要があります。まずは、住宅診断をしてもらえる業者に依頼して、第三者的な視点で住宅がどのような状況にあるかを確認しましょう。ある程度住宅の状態が分かったら、次に複数の工務店に建て替えとリフォームの両方で相見積もりを取り、最終的にどちらにするかを決めると良いでしょう。
住宅診断(ホームインスペクション)を受けよう
住宅診断(ホームインスペクション)は、専門業者に依頼して、住宅の状態を診断することです。家全体の状態を知るには床下や天井裏にも入ってもらう必要があります。本格的な調査の場合、費用相場は9~14万円程度です。
住宅診断を受けることで判明する主な不具合は以下の通りです。
- 屋根の雨漏り
- 外壁の排水口当たりの劣化
- 家の傾き具合
- 基礎部分のひび割れやボルドなどのゆるみ
- シロアリの食害
- 床下の柱などの腐食の度合い
- サッシ周りの漏水跡
建て替えかリフォームかを判断する材料は、この調査でほぼ揃います。お金はかかりますが、現在の自宅がどうなっているかを知るためにも、ぜひ住宅診断を受けておきましょう。
リフォームか建て替えかで複数業者に相見積もりを依頼
住宅診断で自宅の状態を把握したら、次に工務店にリフォームか建て替えかの見積もりを依頼します。このとき、必ず複数の業者に相見積もりを取ることが重要です。業者側には相見積もりを取っていることを正直に伝えて、見積もりを比較することを知らせておきます。
家を新築したときにお世話になった工務店があると、そのままその工務店に頼むという人もいるかもしれません。そのような場合でも、相見積もりを取っておくようにしましょう。比較対象がないと、その見積もりが正しいかどうか判断できないためです。
住宅診断を受けずに見積もりだけ依頼した場合も、見積もりが妥当かどうかを判断する根拠がありません。先に住宅診断をしておき、その後に見積もり依頼を取る、という順番がおすすめです。複数の業者に相談していく中で、信頼できる工務店が見つかれば、じっくりと相談して建て替えかリフォームかを最終的に判断すると良いでしょう。
まとめ
立て替えかリフォームかを判断するためのポイントを5つにまとめて紹介しました。もう一度判断ポイントを確認しましょう。
- 基礎部分の傷みはどの程度か
- シロアリの食害に遭っていないか
- その間取りはリフォームで実現可能か
- 接道の状況やセットバックなど再建築不可の土地でないか
- これまでに定期的なメンテナンスを行っていたか
この判断ポイントに加えて、費用的な面の確認をして、最終的に立て替えかリフォームかを決めると、後悔のない選択ができます。その家に住む家族にとって最適な選択ができるよう、じっくりと腰を据えて検討してくださいね。