マニアのおうち訪問。スターウォーズ、戦隊もの、ウォーキングデッド。大好きなものに囲まれる3LDK一人暮らしの家
マニア、コレクターと呼ばれる人の家は、どんな風になっているのか?
そんな思いから、マニアのお宅を訪問してみました。
ご協力いただいたのは、スターウォーズを始めさまざまなコレクションを楽しむタツヤンさん。そこには、夢と驚きがあふれるお宝空間が広がっていました。
3LDKの広さがあっても、ベッドを入れるスペースはなかった
タツヤンさんは、埼玉県狭山市で塗装業を営む30代。3LDKの家に住み、1階にはキッチンと15畳のリビング、2階には6畳のフローリングの部屋が3つと一人暮らしとしては、かなり余裕のある間取りの住まいとなっています。
ですが!
実際には「ベッドを置く場所がなく、リビングに布団を敷いて寝ている」という驚きの生活。それもそのはず。家中には数々のコレクションが並び、そこはまさに夢の空間なのです。
コレクションのきっかけは、ダースベイダーのフィギュアから
コレクションの始まりは、1995年に購入したダースベイダーのフィギュアの購入から。
ご存じない方に改めて説明をすると、スターウォーズシリーズは、本編だけで8作が放映された映画史に残る世界的ヒット作。1977年~1983年に「旧三部作」、1999年~「新三部作」、2015年~現在「続三部作」が放映されています。この中で1999年の新三部作公開に先駆けて、1995年頃から、旧三部作をデジタル化して上映し、多くの関連グッズも販売されました。タツヤンさんがコレクションとなるダースベイダーに出会ったのもこの頃。
「当時はスターウォーズにそれほど興味があったわけではありませんでした。父が持っていたビデオを見ることがあった程度。中学生の頃、『スターウォーズと言えばダースベイダーでしょ。黒くてかっこいいし』と思ってフィギュアを購入しました。そこからは、ドツボの始まり(笑)。その後は、フィギュアを集めたり、ビデオを見たりしながら、どんどんと熱が上がっていきました」
「千里の道も一歩から」といいますが、まさに「数万個のコレクションも1個から」という感じ。
家中にタツヤンさんのあふれんばかりの熱量がジンジンと伝わってきます。
まずは、各部屋を紹介していきましょう。
ショーケースが並ぶリビングルームは、まるでセレクトショップ
1階はキッチンと広め(15畳)のリビングがあり、ベランダに通じる窓以外の部分にはガラス製のショーケースが並んでいます。
スターウォーズのコレクションが並ぶキッチン前のスペース
映画を楽しむテレビは55インチの大画面
キレイに整頓されて飾られている自慢のコレクション。コスプレで使用するマスクもここに
単に詰め込むのではなく、「見せる」配置に並べてあるのがコレクターらしい!
オークションで入手した台本に、後からサインを入れてもらったという逸品
お気に入りの『バトルフィーバーJ』のバトルケニアのマスクの背面にはサインが入っていました。
リビングにはフェレットのレイちゃん(写真)とアムちゃんがいる。レイはスターウィーズから、アムは戦隊もののジュウオウジャーのキャラから命名。
階段にはお気に入りの写真が並ぶ
階段の壁面は写真を飾るのに格好の場所。スターウォーズ関連の写真やウォーキングデッドの写真が並びます。
リビングから階段に続く壁面には、イベントで会った役者さんとの2ショット写真などが並んでいます。
階段には、最近はまっている「ウォーキングデット」の写真がズラリ。
階段を利用してスターウォーズ上映時ののぼりなどが飾られていました。
2階の1室はスターウォーズの部屋。壁も床もすべて埋め尽くされている
一番のコレクションでもあるスターウォーズは6畳の部屋を埋め尽くしていました。いや、埋め尽くしても飾ることができず、クローゼットの中にも入っているとか・・・。
あまりの数に、写真を撮りきれませんでした(笑
部屋にある窓は黒い布を貼って完全に閉め切り、日の光が入らないようにしているのも特徴です。日の光は、コレクションの敵なんだとか。
壁面には「ベーシックフギュア」と呼ばれる手のひらサイズのフィギュアが箱入りのまま飾られていました。
コレクションで埋め尽くされていながらも、きちんと整理されているところがすばらしい!
飾りきれないコレクションは床にも。とにかく数が多くて驚きでした。
博物館級の品揃え。歴代の戦隊ものや超合金が飾られた部屋
2階の中央部にある部屋には、戦隊ものや超合金などがジャンル別に飾られていました。子どもの頃あそんだものもあり、30~40年くらい前のオモチャも。久々に聞いた「超合金」という言葉。非常にレアなものが多いそうです。
戦隊ものはカラフル!ここでも壁にはフィギュアが並んでいました。
マニアは箱をとっておくのも絶対のルールとのこと。
イベントに参加する際には、オリジナルのTシャツを作成することもあるとか。
さまざまなシリーズを、ジャンル毎に分けて飾るのがこだわり!
発売当時、数千円だった超合金が今では十数万円!
発売当時50円だったスナックの袋が、今では3,000円。もちろん、中身はありません(笑
なつかしすぎたゴレンジャーとの再開(筆者の個人的感想)
「仮面ライダーはあまり数がないんですよ」といってもこんなにある・・・
出演者の現在の姿の写真も。一緒に年齢を重ねている感覚がもてるのも魅力のひとつ?
サインをもらった写真を見て、ニンマリするのが至福の時間(笑
本当はベッドルームになるはずだった作業部屋
寝室にするはずだった部屋は、ウォーキングデッドのジオラマ作成の作業部屋に。全長180センチの土台の上にお気に入りのシーンが再現されるそうです。この部屋は当分、ジオラマが占拠することになりそうです。
全長180センチ!ウォーキングデッドのジオラマ
子どもの頃に自分が遊んでいたオモチャもコレクションの一部
スターウォーズに戦隊もの、ウォーキングデッドとコレクションの幅が広いのが特徴のタツヤンさん。中には、自分の子どもの頃に持っていたものも多く含まれるのだそうです。
「小学校の高学年ぐらいの時だったと思うのですが、『オモチャは捨てないほうがいい。後々、価値が出るかもしれないから、とりあえず置いとけ』と言われまして、遊ばなくなったものは屋根裏に置いておいたんです。戦隊ものなどは、2001年に子どもが生まれて、女の子だったのですがロボットを買いました。それを触っているうちに自分がはまってしまい、実家にあったものを持ってきてしまいました」
結局、2000年頃の戦隊ものからどんどんと遡って集めるようになり、初代であるゴレンジャーにまでたどり着いたそうです。最近は戦隊ものに出演していた人々が作った朗読劇団「桃色旋風」に行き、懐かしい面々と実際に会うこともあるのだとか。
コレクション総額は不明。計算したことはないけど1千万円くらい?
ちなみに、コレクションを集めるのにかかった費用総額を聞いたところ、「1千万円は行かないくらいかな? いや、いっているのかな?」との答え。
コレクション量を見ると、(素人目には)1千万円どころじゃないように見えるのですが・・・。
「何でも欲しいというわけではないので、何も買わない月もあります。ただ、買いたいものがあると1ヶ月で50万円くらい使ってしまうこともありますけど」とのこと。
そうなると、気になるのは仕事です。
「元々は一流メーカーの下請けとして塗装業をやっていました。その後、ON-T Reformを設立して独立しました。一軒家の全面塗装の他、屋根の修理やベランダの床塗装などもやっていて、関東を中心に受注をしていますが、ニーズがあれば全国どこでも行きますね。下請けではなく、直接受注を受けるようになり収入が増えたので、コレクションも増えました」
一軒家であれば、外壁は10年ほどで塗り替えるのが一般的。安心感や保証の面から、大手メーカーに頼むケースも多くなりますが、コストが高く150万~200万円にもなるのが相場。それでも、十数年に1度のことで相場感覚もないため、疑いもなく発注してしまいます。ところが、実際に作業をするのは下請け業者。しかも、その業者にはかなり安い金額で発注がくるのが現状です。タツヤンさんはそのようなスタイルを脱し、直接仕事を受けることで発注者のコスト負担を軽減させ、100万円以下で請け負っています。クオリティは大手と同じか、それ以上のものを提供できるようにしているとのこと。
「保証についても、ニーズにあわせて用意したりして、時にはこちらから訪問して様子を見ることもあります。「ちょっと見て欲しい」と感じたときに、すぐに対応できるという気軽さで言えば、小さな塗装業者を使う方が便利と言えるかもしれません」
仕事あってのコレクションと言うことですね。
スターウォーズのファンイベントを企画
タツヤンさんは、マニアが集える「場」を作ることにも力を入れています。そのひとつが、「スターウォーズ マニア ファンクラブ ジャパン」というグループ。Facebookグループからスタートし、今は公式HP、Twitter、Instagramなど拡大して行き、障がい者施設訪問に行くなど、リアルなボランティア団体にもなっているとか。スタートとなったFacebookグループは、非公開グループながら8,000人を集めています。年に数回オフ会を開いたり、オリジナルグッズを作成したりして、交流を深めているのも特徴です。
昨年8月にはイベントを開催。狭山市の施設を借り、平日ながら100人を集めることに成功しました。その第2回のイベントを今年の4月に開催予定とのこと。「今回は週末なので、150名くらい集めたい」と意気込んでいます。
ちなみにタツヤンさん自身はコスプレも趣味のひとつ。コレクションの中には、コスプできるものもありました。
これからも仕事に、コレクションにとますます忙しくなるそうなタツヤンさんのこれからにも注目したいと思います。
まとめ
興味本位でスタートしたマニアのお宅訪問企画でしたが、思わぬ本気度に圧倒されることとなりました。コレクションを数多く集めるだけでなく、仲間を集めてイベントを企画するなど、その行動力はすばらしいもの。今年は、コレクションを見ながらお酒を飲めるバーを作りたいそうで、これからも夢は大きくなります。
コレクターの中にはコレクションを一人で鑑賞して楽しむ人が多いと思いがちですが、そうではなく、「オープンなヲタクってかっこいい」と感じた取材となりました。