フルオーダー式の注文住宅は自由に間取りを決められることがメリットではありますが、0から自分で考えるのは意外と大変な作業です。中には、自分で考えた間取りにもかかわらず、実際に暮らし始めてから「ここは失敗だったな」と思うケースも実際にあります。では、どのように間取りを考えれば失敗しないのでしょうか。
今日は、代表的な注文住宅の失敗例を8つ紹介します。フルオーダー式の注文住宅を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
代表的な注文住宅の失敗例8選
では早速、1つ目の失敗例から見てみましょう。
1.収納が足りない・多すぎる
1つ目の失敗例は、収納が足りない、もしくは多すぎることです。
ある企業の実施したアンケート調査(※)によると、今の住まいに感じる不満の中で最も多い回答は収納が少ないことでした。
たとえば、注文住宅を建てた後に
- 玄関の収納が足りない
- 収納場所が動線上になくて不便
- ウォークインクローゼットが広すぎた
といった不満を感じることは少なくありません。
また、収納場所の奥行きがありすぎると逆に使いづらいですし、子どもがいるご家庭であれば子どもの成長に合わせた収納量を予想する必要があります。
収納は不満に感じる人が多い項目です。さまざまな成功例や失敗例を参考にしながら、慎重に考えましょう。
2.LDKの冷暖房費がかさむ
2つ目の失敗例は、LDKの冷暖房費がかさむことです。
広々としたリビングや、オープンキッチンに憧れる人も多いことでしょう。2階と1階の空間を共有できる吹き抜けのリビングや、2階へ続く階段をリビングに作る「リビング階段」なども人気があります。
しかし、LDKが広ければ広いほど部屋を暖めるにも冷やすにも時間がかかることを忘れてはいけません。1日の大半をLDKで過ごす人も多いですから、LDKを広くしたり上下階と空間を共有したりするのであれば室内の温度管理についても対策を考えた方がよさそうです。
3.コンセントが足りない・使いづらい
続いて紹介するのは、コンセントにまつわる失敗例です。
注文住宅の間取りを考える際に、コンセントのことを真っ先に考えるという人は多くないでしょう。中には、最後の最後まで頭に浮かばなかったという人もいるかもしれませんね。
コンセントの数が足りない場合や家具に隠れる位置にある場合などでは、電源タップの使用が必要となります。家電の多い場所にはコンセントを多めに用意し、使う家電に合わせてコンセントの位置にも工夫をするとよいでしょう。
4.洗面所の位置が悪い・洗面ボウルの数が足りない
注文住宅では、洗面所に関する失敗例も少なくありません。
たとえば、洗面所と浴室(脱衣所)を同じ空間に作ったことによって
- 年頃の子どもが入浴している間は洗面所を使えない
- 来客があったときに生活感のある洗面所へ案内するのは気が引ける
といった不満につながることがあります。
また、洗面所には
- 子どもが大きくなったら洗面ボウルが足りなくて朝は大渋滞
- 2階に洗面所を作ったので帰宅後の手洗いがおっくうになった
といった失敗例もあるようです。
日本では洗面所と浴室(脱衣所)を同じ空間に作ったり、洗面所に洗濯機を置いたりするのが一般的ですよね。ただ、せっかく自由に間取りを考えられる注文住宅を購入するのであれば、こういった固定観念は取り払うことをオススメします。
最近では、浴室と洗面所を分けたり、専用のランドリールーム(洗濯室)やパウダールームを作ったりする人も増えているようです。洗面ボウルの数も家族の人数に合わせて増やせますので、注文住宅を購入するのであれば検討してみてはいかがでしょうか。
5.間取りが生活動線に合っていない
生活動線に合った間取りを実現できていないことも、注文住宅の失敗例といえます。
生活動線とは、生活をするために通る道のことです。この生活動線を短縮できることは、注文住宅を購入する大きなメリットでもあります。
たとえば、洗濯機と同じ空間や隣の空間に洗濯物を干す場所を作ったり、玄関に雨具やベビーカーなどを収納できる場所を作ったりすると効率的です。ほかにも、来客の多いご家庭であれば来客用のトイレや洗面台を作ったり、玄関からキッチンのパントリー(食料庫)に直行できたりする間取りも良いでしょう。
ただ、生活動線を意識した間取りは意外と奥が深く、素人目線だけで簡単に設計できるものではありません。プロに相談しながら、納得のいく配置を考えてみてはいかがでしょうか。
6.プライバシーを守れない
続いて紹介するのは、プライバシーを守れないという失敗例です。
注文住宅は実際に出入りしながら家の設計を考えられるワケではないため、プライバシーに関しては実際に暮らし始めるまで気が付かないこともあります。
具体的には、
- 浴室の声が外に丸聞こえ
- 玄関を開けると室内まで丸見え
- 外から丸見えのウッドデッキでくつろげない
- リビングからキッチンが丸見え
といった状況ですね。
間取りや設備を考えるときは、視線や音についてもしっかりチェックしましょう。
7.日当たりが良すぎる・西日が当たる
日当たりが良いリビングに憧れる人も多いのでは?
日中に照明を使わなくていいほど十分な明るさがあれば、電気代の節約にもなりますよね。そのために窓を大きくする人もいることでしょう。
しかし、日当たりが良すぎる窓や西日が当たる窓には注意しなければいけません。というのも、秋冬はポカポカと気持ちのよい日光も、夏になると「暑くて暑くてたまらない!」と感じる可能性が高いからです。
実は、冬は開口部から58%もの熱が出ていき、夏は開口部から73%もの熱が入ってくるといわれています。開口部とは、窓や玄関などの部分のことです。断熱リフォームといえばまずは開口部から! といえるほど、窓と断熱には深い関係があります。
日当たりを重視したい気持ちは分かりますが、夏の日差しへの配慮もお忘れなく。断熱と遮熱については、こちらのコラムも参考にしてみてください。
8.子どもが成長したら不便になる
最後に紹介する失敗例は、子どもが成長した後で不便になってしまうというものです。
子どもがいるご家庭では、子どもとの生活を中心に考えて間取りを考える人も多いのではないでしょうか。
しかし、子どもは必ず成長するものです。家を建てた頃に必要だったものが不要になることもあれば、成長するにつれて必要になるものがあるということを忘れてはいけません。
たとえば、子どもの勉強机や本棚を備え付けた結果、子どもが成長するにつれて使わなくなり、最終的には邪魔になってしまったというケースがあります。
ほかにも、
- オモチャ用の収納は不要になり、反対にクローゼットが足りなくなった
- 年頃になった子どもが異性の兄弟と同じ部屋はイヤだと言い出した
- 子どもが増える予定ではなかったため、子ども部屋が足りなくなった
といった状況は少なくないでしょう。
間取りや収納、設備などを考えるときは、子どもが成長したり増えたりした場合のことも想像しながら考える必要がありそうです。
まとめ
今日は、代表的な注文住宅の失敗例を8つ紹介しました。
同じ間取りの住宅でも、生活スタイルや価値観によって成功だと感じる人もいれば失敗だと感じる人もいます。インターネットで調べても実際の成功例や失敗例は見つけられますので、ぜひいろんな例をチェックしてみてくださいね。