【連載】3つのポイントで実現!入居希望者の心をつかむ「24時間ゴミが出せるゴミ置き場」
株式会社アートアベニューの安藤と申します。弊社は、首都圏の賃貸物件約6500戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。
本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などを紹介します。
「曜日や時間を気にせずゴミを出せる物件」の魅力
時間を気にせず、24時間ゴミを出せる物件の人気が高まっています。
『首都圏賃貸住宅市場における入居者ニーズと意識調査2018~2019年(リクルート住まいカンパニー社・21C.住環境研究会共同編集)』によると、部屋探しをする人の約3割が、自己負担をしてでも欲しい設備・サービスとしてこの24時間ゴミ出し可能サービスを挙げています。
曜日や時間を気にせずにゴミを出せるというシステムは、体験してみると非常に便利なものです。ここで差別化ができれば、客付けやテナントリテンション(入居者保持)にも有利に働くこと間違いなしでしょう。
しかし現実はというと、賃貸アパートでは「ゴミは指定日の朝に出すもの」という運用がまだまだ一般的です。また、アパートの建築プラン自体も、ゴミ置き場のスペースを最小限しか用意していないものがほとんど。結果、効果の高さは分かっていても、ゴミ置き場の24時間化を諦めているオーナー様が少なくありません。
ですが、もし「ほんの少しの工夫」でゴミ置き場の24時間化が実現できるとしたら、いかがでしょうか。実際、弊社では、いくつもの物件で24時間化を実現してきました。しかも、その方法は意外と簡単です。
後からゴミ置き場の24時間化をかなえる魔法のアイテム……
それは、一般的な「ゴミストッカー」です。
間違えると設備投資が無駄に…物件に見合った適切な容量を
もちろん、ただゴミストッカーを設置すればよいわけではありません。ゴミストッカーによる24時間化を成功させるには、3つのポイントを押さえる必要があります。
ポイントの1つ目は、物件に見合った量のゴミストッカーを購入すること。
容量不足でゴミがあふれてしまうゴミストッカーほど、無意味なものはありません。美観は損なわれ、動物に荒らされ、フタがついている甲斐もなく悪臭問題が発生する。これでは路肩のゴミ置き場と何ら変わらず、せっかくの投資も無駄になってしまいます。
適正容量は、単身タイプなら最低でも1戸30リットル、ファミリータイプなら1戸45リットルくらいが1つの目安です。
2つ目のポイントは、その適正容量の「2倍」のゴミストッカーを用意することです。
単身8世帯であれば30×8=240リットルが適正容量ですので、その2倍の480リットルを用意します。物件の規模に合わせて、容量に余裕のあるものが用意できれば安心です。
容量が大きいだけでは不十分。ゴミ出しのスペースを区切ることが大切
ただし、単純に適性容量2倍のゴミストッカーを設置するだけでは不十分です。
これだと可燃も不燃もその他のゴミも一緒くたに出されてしまうので、ゴミを回収する清掃局から見れば無秩序に出されている状態となり、ゴミの回収がされないどころか指導が入ってしまいます。
こうならないためには、ゴミの種類ごとにゴミストッカー内部のスペースを分けるということが3つ目のポイントです。
スペースを分けたらストッカーの中に箱を置いたり張り紙をしたりして、分別方法が入居者へ直感的に伝わる工夫をしておきましょう。
これは敷地面積との相談になりますが、適性容量のゴミストッカーを2つ設置して、片方を可燃ゴミ専用にできると理想的です。入居者が使いやすくなるだけでなく、可燃ごみと不燃ごみが混ざりにくくなることで管理の手間も減らせます。
まとめ:思わぬ副産物!入居者のマナーが改善するケースも
実際に管理物件で24時間化を実施してみると、これまでゴミの分別問題が多かった物件で入居者のマナーが改善したケースも見られました。ゴミ置き場の24時間化によって生まれた「いつでも出せる」という心の余裕が、入居者のマナー改善に心理的な影響を与えたのかもしれません。
「24時間ゴミが出せるゴミ置き場」を実現するには大きなゴミストッカーが必要となるため、まずは敷地の問題をクリアする必要があります。とはいえ、24時間化にはメリットが多数ありますから、興味のある方はぜひ実践してみてください。
株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/