激安賃貸! 訳あり物件はお得なのか?

「激安賃貸の訳あり物件」。テレビやインターネットなどで耳にすることがありますよね。誰かが自殺した部屋、幽霊が出る部屋などは家賃が安くてお得。そんな噂話をもとに、最近ではそうしたいわゆる事故物件に住むことを生業とする芸人さんがいたり、事故物件に詳しい専門家の方がいらっしゃったりします。

では実際、激安賃貸の訳あり物件はお得なのか?
また、一体どういった物件が存在し、どのくらいお得なのか?
訳あり物件のメリット・デメリットを含めて、ご紹介します。

 

訳あり物件とは

訳あり物件とは法律上で「瑕疵物件(かしぶっけん)」といいます。瑕疵(かし)とは不備のある状態、故障や欠陥(けっかん)、不足のある状態をさします。ですから「瑕疵物件」は欠陥や故障のある物件であり、みなさんがイメージする「訳あり物件」につながるわけです。

訳あり物件=瑕疵物件といえば、自殺や殺人事件のあった物件が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか?
もちろん、そういった物件も瑕疵物件に入りますが、他にもさまざまな種類の瑕疵物件があり、大きく4つに分類されています。

  • 物理的瑕疵物件
  • 環境的瑕疵物件
  • 法的的瑕疵物件
  • 心理的瑕疵物件

それぞれの瑕疵物件を簡単に具体例を交えてご説明します。

 

物理的瑕疵物件

文字通り物理的に土地、建物に欠陥がある物件を物理的瑕疵物件(ぶつりてきかしぶっけん)といいます。

■土地に関する具体例

  • 地盤が歪んでいる
  • 土壌汚染
  • 土地の境界線が曖昧
  • 地中に埋没しているものがある
  • 極端に立地が悪い

■建物に関する具体例

  • 雨漏り
  • ひびが入っている
  • シロアリが発生している
  • 床下浸水があった
  • 耐震強度が基準に達していない

 

物理的瑕疵物件はお得なのか?

物理的瑕疵物件は賃貸物件の場合、残念ながらたいしてお得ではありません。それでも一般の相場よりはおおよそ10%程度くらいは安くはなる場合もあります。1人暮らし1DKで家賃60,000円でしたら54,000円といったイメージですね。雨漏りする少し家賃が安いアパートをお得ととるかどうかはあなた次第です。

 

環境的瑕疵物件

物件そのものに瑕疵があるわけではなく、物件の周囲の環境に瑕疵がある場合の物件を環境的瑕疵物件といいます。「住むにはちょっと・・・」と思われるような施設がすぐ近くにある、駅からやたらと遠いなどがその理由になります。その他にもさまざまな例で見てみましょう。

■環境的瑕疵物件の具体例

  • 近くに駅やバスなどの公共移動手段がない
  • 近くに暴力団事務所がある
  • 近くに墓場、火葬場、ごみ集積場がある
  • 近くにゴミ屋敷、または悪臭がする建物がある
  • 近くに高層マンションなどがあり、日当たりが悪い、眺めが悪い
  • 近くに繁華街があり、うるさい

 

環境的瑕疵物件はお得なのか?

環境的瑕疵物件は気持ち相場より家賃がお得になる程度がほとんど。環境的瑕疵物件=激安訳あり物件とはなかなか結び付きません。ですが、日中、日が当たらないとか、窓を開けたらすぐ墓地というくらいなら、苦も無く過ごせるという方も多いと思います。それだけに家賃が激安とはならないのですが、少しお得に部屋を借りることはできますので、検討してみるといいでしょう。

 

法的瑕疵物件

法令などで自由な利用が制限されていたり、法令を違反している物件を法的瑕疵物件といいます。法令に触れている場合は、主に都市計画法、消防法、建築基準法に抵触しています。具体例をあげて見てみましょう。

■法的瑕疵物件の具体例

  • 開発行為が認められない市街化調整区域内にある
  • 構造上の安全基準を満たしていない
  • 接道義務に反している
  • 建蔽率(けんぺいりつ)違反
  • 防災設備が古い

 

法的瑕疵は賃貸物件を借りる際にほとんど影響しない

例を見てわかる通り、賃貸アパート、マンションに関しては、法的瑕疵があるせいで家賃が安いといったお得感はほとんど発生しません。たとえば防災設備、火災報知器やりスプリンクラーが昔のものだったりしても気になりませんし、大抵の場合、部屋を借りるときにそんな話は出てきません。土地や建物を購入するとなると「再建築不可」などという法的瑕疵がある物件はかなりの訳あり物件となりますが、部屋を借りる際には目立った影響はありません。

 

心理的瑕疵物件

おおかたの人が訳あり物件と聞いたときにイメージするのはこの心理的瑕疵物件です。心理的瑕疵物件とはその物件で過去に起きた出来事に関して、一般的に嫌悪感を持たれる物件のことをさします。いわく付き物件、事故物件なんて呼ばれたりもします。その一方、土地や、建物自体にはなんの瑕疵もありません。

■心理的瑕疵物件の具体例

  • 自殺があった
  • 殺人があった
  • 事故や事件、火災があった
  • 近くで事故や事件、火災があった
  • 事故死、孤独死があった
  • 遺体が腐乱した経緯がある

 

心理的瑕疵物件はお得なのか?

物件によりますが、これまであげてきた3つの瑕疵物件のなかでは家賃の値下げは1番大きいといえます。例えば、通常の相場の半額に近い家賃で入居出来たりすることもあるのが、この心理的瑕疵物件になります。嫌悪される理由は、「幽霊が出るんじゃないか」とか、「不幸になるんじゃないか」といったもの。テレビなどでも特集が組まれていることを見ても、そうったことを恐れる人が多くいるのは当然です。でも、「霊感がない」という人は意外と多く、それゆえに平気で住めるという人もいるわけです。「全然気にせず、住めばいい」と誰にでも勧められるわけではありませんが、気にならないのであればお得に住めるというわけです。

 

訳あり物件のメリットとデメリット

主に心理的瑕疵物件をメインとして考えながら、訳あり激安物件はどんなところがお得なのか、またデメリットは何か、考えてみましょう。

 

訳あり物件のメリット

家賃が相場よりも安い

その物件で過去に何があったのかによりますが、相場よりも半額に近い物件、30%程度安い家賃などが訳あり物件の1番の魅力です。

安くて綺麗な部屋に住める

例えば、孤独死で腐乱が進んでしまった場合、流れた体液は床板にまで沁みてしまいます。また腐乱臭も強烈で、板材だけの交換や1室だけリフォームする場合もありますが、そういった状態のひどい部屋はリフォームに近いハウスクリーニングを行うので、不自然に部屋が綺麗なときもあります。つまり、とてもきれいな部屋に、格安で住めると言うことです。

 

訳あり物件のデメリット

定期借家契約であることが多い

心理的瑕疵物件にこの契約が多く見られます。定期借家契約とは契約の更新が出来ない形態で、その多くは1年~2年と賃貸期間も短く限られています。つまり、家賃が安くて入居するものの、1年後には出ていかなければいけないといった慌ただしさがあるということです。じゃあ、契約終了後また入居出来るかというと、その多くは値段を相場に戻し、訳ありじゃない物件として告知せずにお店に並ぶので、訳あり物件の安いメリットはなくなってしまいます。

気が変わっても引っ越しが大変

「過去に自殺した部屋なだけだから大丈夫なはず」なんてちょっとした不安を押し殺して家賃の安さにひかれて入居してしまうと、ひょんなことから怖くなったりして、すぐ転居なんてことも。「ここのところ体調が優れないのもそのせいかも」と気にしだしたらきりがなくなることもあるので、神経質な方は注意が必要です。

 

訳あり物件の探し方

心理的瑕疵なども気にならず、むしろ部屋は綺麗だし、ペット可物件など入居しやすい条件が加えられていたり、なにしろ家賃もお得なのでそうした物件を探したい、なんて人も最近では増えてきているそうです。
では、どうやって訳あり物件を探すのでしょうか。方法は3つあります。

  • 「告示事項あり」の不動産賃貸物件広告を探す
  • 不動産屋さんに訊いてみる
  • 事故物件を扱うサイト「大島てる」で検索してみる

ひとつずつ見ていきましょう。

「告示事項あり」の不動産賃貸物件広告を探す

心理的瑕疵も告知義務があります。しかしどの程度まで、いつまでといった明確なルールがなく、貸主によっては2年経ったら告示しないなんて場合もよくあります。ただし事故後、最初の入居に関しては物件広告に「告示事項あり」と記載されているのが一般的です。瑕疵物件に住みたいのなら、そういった告知のある物件に限定して探すとよいでしょう。

不動産屋さんに訊いてみる

実はこれが1番手っ取り早く、ベストな探し方です。親切丁寧な不動産屋さんならちゃんと教えてくれます。瑕疵物件を探す人はもとより、避けたい人は必ず自分の借りる物件がなんらかの瑕疵はないか確認しましょう。

事故物件を扱うサイト「大島てる」で検索してみる

大島てるさんのサイトでは住所を入力するとその物件が事故物件か確認出来る検索ツールがあります。そのサイトで希望の場所の近くに事故物件がないか探してみるのも良いでしょう。

http://www.oshimaland.co.jp/

 

激安賃貸の訳あり物件は受け取り方次第

住めば都とはまさにその通りで、過去に殺人事件があった訳あり物件でも気にすることがなければ居心地の良い最適な空間です。なんて、そんな風に捉えるにはなかなかの度胸がいりますが、感じ方は人それぞれ。まったく平気な人は激安賃貸を探すのも良いでしょう。
おすすめは不動産屋さんに訊いて、話をすること。よくよく話して物件を知ることは大切です。過去に筆者は窓を開けたらすぐ墓地といった物件を内見したことがあります。私は霊的なものに一切関心がなく、良い訳あり物件だと思ったのですが、不動産屋さんの一言で止めました。「お盆はお線香の匂いで窓をしっかり閉めていても部屋中すごいことになるんです」と。

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