狭小住宅は間取りの工夫次第で快適に!メリットを最大限に活用しよう

  • 2020/1/21
  • 狭小住宅は間取りの工夫次第で快適に!メリットを最大限に活用しよう はコメントを受け付けていません

「都市部にマイホームを持ちたい! だけど土地代が高くて難しい……」そんな悩みを持つ人に注目されているのが、狭小住宅(きょうしょうじゅうたく)です。狭小住宅なら、広い土地を購入しなくてもマイホームを建てられます。しかし、何も考えずに狭小住宅を建ててしまうのはNG。きちんと間取りを考えないと、どうにも使いようのないデッドスペースが生まれたり、生活動線が複雑になったりといった失敗も起こりやすいのが狭小住宅の特徴だからです。

そこで今日は、狭小住宅でも快適に暮らせる間取りの工夫方法や、実際に建てられた狭小住宅の間取り例などをまとめて紹介します。ぜひあなたのマイホームを具体的に想像しながら読み進めてください。


狭小住宅の基本をおさらいしよう

狭小住宅について、まずは基本をおさらいしてみましょう。

基本1.狭小住宅の定義

狭小住宅には明確な定義がありません。しかし、一般的には約15坪以下の土地を使って建てられた住宅を狭小住宅と呼ぶケースが多いです。

なお、15坪を平米に換算すると約49.58平方メートル。畳でいうと、約30畳分の広さです。

15坪の広さがどれくらいなのかを実感していただくために、国土交通省の定める『世帯人数における最低居住面積水準(※1)』を以下にまとめましたのでご覧ください。

世帯人数 最低居住面積
単身 25平方メートル
2人 30平方メートル
3人 40平方メートル
4人 50平方メートル

最低居住面積から考えると、15坪なら家族4人でもなんとか暮らしていける広さといったところでしょうか。それに狭小住宅ならば2階や地下を作ることもできますので、間取り次第ではゆとりのある住まいにできます。

基本2.狭小住宅のメリット

狭小住宅といえば、なんといっても土地代を安く済ませられるのが最大のメリットでしょう。狭小住宅なら、利便性の高い都市部であっても最低限の費用でマイホームを持てます。

また、小さい面積で済むということは、固定資産税や光熱費を安く抑えられるということ。狭小住宅は維持費の面でもメリットがありますね。

基本3.狭小住宅のデメリット

狭小住宅は、通常の住宅と比べてどうしても面積にゆとりが少ないもの。それ故に「生活動線が複雑だから大幅に模様替えをしよう」と思っても、簡単には実現できないかもしれません。そう考えると、狭小住宅を建てるのであれば、一般的な住宅を建てる場合よりも住宅の作りや生活動線を慎重に考える必要があります。

また、スペースの小さな狭小住宅は大きな機器や大型トラックを使えず建築に手間を要することから、かえって建築費がかさむ場合も。これは狭小住宅ならではのデメリットかもしれません。

狭小住宅で快適に暮らすための間取りとは?オススメの工夫方法

狭小住宅で快適に暮らすためには、間取りの工夫が必要です。

ここでは具体的な方法を解説しますので、ぜひ取り入れてみてください。

工夫1.収納スペースは作り付け、かつ多めに

狭小住宅の場合、後になって収納用の棚やボックスを用意しようと思っても、置き場所がなかったり圧迫感が出たりと困りものです。収納スペースは、できるだけ作り付けましょう。※作り付けるとは、家に合わせて作り、取り付けることです

たとえば、

  • 階段そのもの
  • 階段の下部
  • 壁の上側

など、歩く邪魔にならない場所を全て収納スペースにするのも良いアイデアですね。

工夫2.壁や天井といった仕切りを少なめに

狭い空間をできるだけ広く見せるためには、天井を吹き抜けにしたり、部屋の仕切り代わりに背板のない棚を使ったりするのがオススメです。

小さな面積をいくつもの仕切りで区切ってしまうと、どうしても閉塞感が出ます。そこで、空間を完全に仕切らないよう工夫し、開放感を高めるのです。

仕切りを減らすには、中二階や中三階といったスキップフロアのほか、ロフトを作るのもよいでしょう。高さが異なるスキップフロアやロフトを作ることで仕切らずとも個別の空間を作れますし、視覚的に部屋が広くなり、開放感を感じられるといったメリットもあります。

工夫3.大きめの窓や鏡で空間を広げる

壁全面を鏡にしているお店で、実際よりもお店が広いように感じたことはないでしょうか。たとえ全面でなくても、鏡や窓があると人は錯覚を起こします。

そこで、通路や玄関などの狭くなりがちなスペースには、なるべく大きな鏡や窓を設置してみてください。収納の扉に鏡を付けるのもオススメです。

工夫4.冷蔵庫をリビングから見えない位置に置く

スペースが限られた狭小住宅の場合、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)がひとつなぎになるケースは多いです。この場合、冷蔵庫を置くスペースのみを壁で覆うなどして、なるべくリビングから冷蔵庫が見えないようにしましょう

たとえ冷蔵庫を隠すだけでも、リビングとキッチンを視覚的に区切ることで生活感が薄れ、おしゃれな印象になります。

工夫5.子どもがいるなら未来に向けた間取り設計を

「狭小住宅を広々と使いたいから」という大人の都合だけで、子どもの自室スペースまで削ってしまうのはNG。子どものためにも、子ども部屋は必要不可欠です。

建設の時点でまだお子さんが小さいなら、スライド式の扉を部屋の中心に作り、ゆくゆくは部屋を2分割できるようにするとよいでしょう。

また、長く住むことを考えて「老後のためにバリアフリーな住宅を」と考える人もいるかもしれません。

しかし狭小住宅の場合は階段が多くなりがちなため、バリアフリーを実現するのはやや難しい傾向にあります。というのも、狭小住宅は狭い土地に家を建てるため、2階建てや3階建てにするケースが多いのです。

それに、老後まで住み続けるとなると経年劣化も起きます。そう考えると、バリアフリ-が必要な年齢になってから、リフォームやリノベーションをして住みやすい環境を作るのがベターでしょう。

工夫6.土地は長方形よりも真四角に近い形がおすすめ

同じように空間を区切った場合、真四角に近い四角形の住宅はどの空間からもほかの空間に行きやすいですが、長方形の住宅だとひとつひとつの空間を通らないと端の空間には行けません。

つまり、長方形の住宅は生活動線が長くなるのです。

狭小住宅で快適に暮らすためには、できるだけ真四角に近い形の土地にすることをオススメします。

工夫7.地下室も検討しよう

2階、3階と上に伸ばすのもよいですが、下に地下室を作るのもオススメです。

全地下にすれば遮音性が高いため、音漏れを気にせず音楽鑑賞や映画観賞を楽しめます。全地下とは、地下室が丸ごと地下に埋まっているタイプの地下室です。

また、地下室は温度が管理しやすいため、食品やワインの貯蔵庫にもよいでしょう。

ただし、地下室には建築費用が高いことや結露が起こりやすいことなどのデメリットもありますので、よくよく検討してください。

実例!狭小住宅の間取り

続いて、実際に建築された狭小住宅の間取りをチェックしてみましょう。

【間取り例1】18.63坪・3階建て狭小住宅(東京都・夫婦2人暮らし)

こちらの間取りで目立つのは、やはり吹き抜けではないでしょうか。2階のダイニングから3階までを吹き抜けにすることで、明るく開放感のある空間が生まれます。


画像引用元:シックな狭小住宅|株式会社BLISS

また、3階は2部屋ありますが、壁を作らないことでより広い空間を実現。夫婦2人でそれぞれが思い思いの部屋を作ることで、その中でくつろぎながらもふとしたときには顔を見合わせられます。

まさに、仲の良い2人にはピッタリの間取りですね。

【間取り例2】14.46坪・3階建て狭小住宅(東京都・夫婦2人暮らし)

こちらの狭小住宅では、ダイニングルームの上に吹き抜けだけでなく天窓を設けています。


画像引用元:天窓の狭小住宅|株式会社BLISS

天窓があれば、住宅と住宅に挟まれて日が入りづらいお部屋でも自然光を取り入れられるでしょう。

ただ、普段の生活スペースに天窓があると、日差しの強い日は逆に居心地があまり良くないかもしれません。取り入れるのであれば、こちらの住宅のようにスイッチ1つで動かせる電動シェードを取り付けるのがオススメです。

【間取り例3】14.01坪・3階+屋上あり狭小住宅(東京都・1人暮らし)

狭小住宅の場合、土地によってはバルコニーを設けづらいケースもあります。そんなときは、こちらの住宅のように、屋上にルーフバルコニーを設けてみるのはいかがでしょうか。


画像引用元:ルーフバルコニーの狭小住宅|株式会社BLISS

無理に狭いスペースでバルコニーを作るよりも、屋上に作った方が広々として使い勝手の良いバルコニーになるかもしれません。

まとめ

狭小住宅はコスパが良く今の時代に合っていることから、増加の傾向にあります。しかし、狭小住宅の特徴柄、間取りの工夫は必須。「こうしたい」という要望は、できるだけ具体的に建設会社へ伝えることが大切です。

プロの知恵を借りながら生活動線をよく考え、広く明るく見せられる間取りを実現できるように工夫してみてください。狭くても快適な狭小住宅を手に入れましょう。

参考サイト

(※1)資料8-3 住生活基本計画(全国計画)における誘導居住面積水準及び最低居住面積水準|国土交通省

 

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