夏こそ重要!断熱と遮熱の違いを分かりやすく解説。両方の対策が必要なケースとは
断熱について調べていると、遮熱という言葉に気付く方も多いのではないでしょうか。実は、暮らすエリアや建物の種類、部屋の特徴などによっては、断熱が必要な場合と遮熱が必要な場合があります。
そこで今日は、断熱と遮熱について、それぞれの定義や方法、必要な場合などを紹介します。断熱と遮熱の両方が必要なケースもありますので、これから夏に向けて断熱をしようと考えている人は参考にしてみてください。
断熱・遮熱それぞれの定義と方法
まずは、断熱の定義と、断熱効果を得る方法について解説しましょう。
断熱とは、その名の通り熱の伝導を断つことです。
冬であれば、室内の暖かい熱を外に漏らさないようにしたり、室外の冷たい空気を中に入れないようにしたりすることを断熱といいます。
たとえば、
- 窓や玄関を二重にする、断熱素材に換える
- 床や壁、天井、屋根などに断熱材を入れる
- 外壁や屋根に断熱塗装を施す
などは、代表的な断熱リフォームの方法です。
基本的に、熱は部屋の外と中を区切っている箇所を伝わって移動します。部屋の外と中を区切っている箇所とは、窓や玄関、壁、床、屋根などのこと。そのため、簡易的な断熱であれば工事を行わなくても取り入れられますが、一般的には工事を伴う場合が多いです。
一方、遮熱(しゃねつ)とは、熱を遮る(さえぎる)ことを指します。
さまざまな熱の伝導を断つ断熱とは違い、遮熱で遮るのは太陽熱のみです。そのため、遮熱は夏に効果を発揮します。
遮熱で有名なのは、
- 窓や玄関を遮熱ガラスに換える
- 植物やすだれ、カーテンを使う
- 外壁や屋根に遮熱塗装や遮熱シートを使う
などの方法です。
もちろん遮熱にも工事を伴う方法はありますが、太陽光さえ遮ることができれば熱を遮れるため、遮熱には工事を伴わない方法もたくさんあります。昔から当たり前のように取り入れられてきた方法もあるため、自覚なく遮熱を取り入れている人も多いでしょう。
◇断熱と遮熱は防げる熱の種類が違う
ここまでをざっくりまとめると、暑さも寒さも防げるのが断熱、暑さだけを防げるのが遮熱ということです。
暑さも寒さも防げるなら、断熱だけを取り入れれば良いんじゃないかと思う人も多いのでは? ところが、実際は暮らしているエリアや部屋の状況などによって取り入れるべき方法が異なります。
では、一体どちらの方法を取り入れるのがベストなのでしょうか?
■断熱が必要な場合・遮熱が必要な場合
ここからは、断熱が必要な場合と遮熱が必要な場合について解説します。
まずは、断熱が必要な場合から見てみましょう。
◇寒さが気になる場合は断熱をメインに
断熱が必要なのは、夏になると暑くて、冬になると寒い場合です。日本には四季がありますので、ほとんどのエリアがこの場合に当てはまるのではないでしょうか。
また、部屋によって温度が大きく異なる住宅に暮らしている場合も断熱が必要です。たとえば、冬場になると体が震えるほど寒くなる脱衣所や浴室、エアコンが設置できない部屋などのある住宅には断熱が必要だと考えられます。
とくに冬の寒さは健康に悪影響を与えることが分かっていますので、夏の暑さよりも冬の寒さが気になる場合には断熱に効果のある対策を施しましょう。
◇暑さが気になる場合は遮熱をメインに
続いて、遮熱が必要なケースを紹介します。
遮熱が必要なのは、冬の寒さよりも夏や夕暮れの暑さが気になる場合です。たとえば、日本の中でもとくに暑いエリアに暮らしている場合や、夏になると強い西日が当たる部屋などは遮熱の必要性が高いと考えられます。
ただし、住宅の構造や建物の種類などによっては遮熱によって太陽の熱を遮っただけでは十分に暑さを防げない可能性もあり、注意が必要です。
では、遮熱だけで十分に暑さを防げないのは一体どんな場合でしょうか。ここからは、断熱と遮熱の両方が必要な場合について解説します。
■断熱と遮熱の両方が必要な2つのケース
断熱と遮熱の両方が必要なケースは、大きく分けて2つあります。
1つは、先ほどお伝えしたように遮熱だけでは十分に暑さを防げないケース。そしてもう1つは、季節によって暑さと寒さの両方が気になるケースです。
早速、1つずつ解説しましょう。
◇1.遮熱だけでは暑さを防げない
遮熱だけでは暑さを防げないケースでは、断熱と遮熱の両方を取り入れる必要があります。
たとえば、屋根や天井、壁や床などに断熱材の入っていない住宅、または断熱材が不足している住宅に暮らしている場合は要注意。こういった住宅に暮らしていると、いくら太陽光を遮っても外の熱が室内に伝わってしまいます。また、断熱性能の低い住宅はエアコンの効きも悪いため、電気代がかさむというデメリットも。
古い建物にお住まいの方は、住宅にどんな断熱を施しているのか一度チェックしてみてください。
◇2.季節によって暑さも寒さも気になる
季節によって暑さと寒さの両方が気になるケースでも、断熱と遮熱の両方を取り入れる必要があります。
仮に、夏の西日が気になるからと遮熱のガラスに交換した場合を例に考えてみましょう。
遮熱のガラスに交換した場合、当然ながらその部屋には太陽熱を取り入れられません。遮熱は、夏にはうれしい機能ですが、冬には太陽熱が必要となる部屋もあるのではないでしょうか。屋根に遮熱のシートを貼ったり、遮熱塗装を施したりした場合も同じです。
夏には邪魔だと感じる太陽熱でも、冬に必要となるケースは多いハズ。1年を通して暖かいエリアにお住まいで、「まず暖房器具を使うことはない」という場合は例外です。しかし、そうでない場合は、むやみに遮熱を施すのではなく、住宅の箇所ごとに断熱と遮熱の両方を上手に取り入れましょう。
ただ、中には断熱を施すべき箇所と遮熱を施すべき箇所が分かりにくい住宅もあります。たとえば、「冬になると寒いのに夏になると西日がキツい」といった部屋は、断熱と遮熱のどちらを取り入れるべきか迷いますよね。この場合は断熱を優先に考え、必要に応じて取り外しのできる遮熱対策を施すのがオススメです。取り外せるグッズなら、冬になれば取り外して太陽光を取り入れられます。
また、断熱と遮熱、両方の効果を期待できるガラスや塗料も登場しているようです。リフォームをお願いする際は、その辺りについても相談してみると良いでしょう。
■まとめ
断熱と遮熱は、似て非なるものです。断熱の必要な箇所に遮熱を施してしまうと、夏は快適に過ごせても冬には寒くて大変な思いをするかもしれません。断熱と遮熱の違いをしっかり理解して、箇所に合わせて必要な対策を施してくださいね。