新生活をはじめるとき、大きな買い物となるのが賃貸物件の契約ですね。
いろいろなページで用語説明はされていますが、はじめてアパート・マンション・貸家を借りる際に必要な用語とポイントをだけをわかり易く説明します。
まずは物件選び
期待と不安に胸を膨らませながら不動産会社を訪ねることでしょう。注意して欲しいポイントが2つあります。
1つ目は、身の丈に合った物件だけ見ることです。家賃によって物件も様々ですが、他の物件よりも値段が高い物件は、長所があるから高いのです。少しでも高い物件を見てしまえば、必ずといっていいほど迷います。
契約するのはあなたですので、「ちょっと予算を上げようかな」と考えることは自由です。それで家賃が払いきれずに、滞納してしまう方を私はいっぱい見てきました。
2つ目に、オススメの物件を3~5件だけ見ることです。何件見るのもあなたの自由ですが、見れば見るほど迷いはじめます。
「あの物件はアレが良いけど、この物件はココが良いし…。」と迷っている間に、他の誰かが決めてしまいます。「決めようと思ったのに、なくなってしまった…。」なんてことは日常茶飯事です。
初期費用
物件が決まったら、契約するときに払わなくてはいけないのが初期費用です。初期費用は敷金・前家賃分・共益費(管理費)・仲介手数料などを全て含めた金額ですので、物件によって変動します。
はじめての方は「前家賃分」がピンとこないかもしれません。賃貸物件は基本的に前家賃で支払います。
たとえば、4月分の家賃は、3月末あたりに支払います。なので、3月に物件を決めて、4月1日から入居するのであれば、初期費用の中に4月分の家賃を含んで計算します。4月20日からの入居であれば、4月分の日割り家賃と5月分の家賃を初期費用に入れて計算します。
敷金(保証金)
家賃の1~3ヵ月分が相場ですが、物件の設備や広さによっても変動します。
物件を退去する際の清掃費や原状回復費に充てられるお金で、残金を返金するタイプと、返金がないタイプに分かれます。預けている敷金が少額の場合は、清掃費や原状回復費がギリギリのラインで契約していますので、はじめから返金はしない前提で契約していることがほとんどです。契約時にしっかり確認しましょう。
畳の枚数が多い物件は注意が必要です。退去後に畳の表替えをするケースは、枚数がかさむと思いのほか費用がかかることがあります。表替えではなく、新調する場合は更に費用がかかります。
国土交通省が公表しているガイドラインには、借りていた人の故意・過失による損耗(そんもう)しか敷金は充てられないとされています。
自然的な劣化・損耗は経年変化(経年劣化)、借りていた人の通常使用によって生じた損耗を通常損耗といい、基本的には敷金からではなく家主(貸主)が負担するものです。適切な手入れをしなかったために汚損・破損・カビの拡大などが起こった場合は、あなたの責任となる可能性があります。
借主負担か、貸主負担かは、上記の様に法的な見方もできますが、その地域の慣習が優先されることもあります(慣習法と呼ばれます)。
礼金
昔の、大家さんと入居者の関係の名残です。「住まわせて頂きありがとうございます」といった形で、大家さんに「お礼金」として渡していました。
現在は借地借家法や宅地建物取引業法によって契約者(借主)の立場が保護されるようになり、礼金はあまり使われなくなりました。
「お礼金」ですので、支払ってしまった礼金についての返金はありません。敷金の代わりとして清掃費・原状回復費に充てられることもありません。
共益費(管理費)
みんなが使うスペースや設備の清掃費・維持管理費・修理費に充てられます。たとえば、駐車場や通路の外灯を交換したり、エレベーターや自動ドアのメンテナンスをしたりします。
家賃と同じように毎月支払いますので、「2.初期費用」で説明した「前家賃」と同じように計算して、初期費用の中に入れます。
仲介手数料
仲介を行う不動産会社に支払う費用です。家賃の1ヵ月分が上限となっています。
駐車料が別途かかる場合、不動産会社は駐車料に対しても1ヵ月分の仲介手数料を報酬として得ることができます。
その他、共益費などの費用から仲介手数料として報酬を得ることはできません。
その他入居時にかかる費用
オプションとして代表的なのが「鍵交換」と「抗菌施行」です。
鍵交換は防犯上した方が良いといえます。前の入居者が退去する際、スペアを作成した分まで引き渡すよう説明はするのですが、もしスペアを引き渡さずに持っていた場合、そのカギで中に入れてしまうことになります。
抗菌施行は入居時の一時的な効果しかありません。した方が良いですが、しなくても問題ありません。不動産会社からすると、抗菌施行は利益率が高いので必ず勧めてきます。
不動産会社によっては、もしものときの「24時間サポート」や、ダニ・ゴキブリの駆除を含む「防虫・消毒施工」などもオプションで勧めてくることもあります。
初期費用を抑えたい場合は、「鍵交換」以外は外せるのか相談しましょう。
「家財保険(火災保険)」は必ず加入しなければなりません。室内の家電製品が雷で故障したときも保険で対応できます。
こんな方もいました。2階に住んでいた方の洗濯機が原因で水漏れが起こり、1階の天井から水が落ち布団・絨毯・服・家電製品を濡らしてしまい大変なことに…。2階の方は留守で、1階の方は激怒でしたが、保険に入っていたのでなんとか対応できました。
物件自体には家主(貸主)も保険に入るのですが、あくまでも外見の部分の保険です。室内の家財などについては入居される方が個別に保険をかけます。保険会社によっては盗難まで保証してくれるものもあります。
1年更新型や2年更新型が多く、世帯数や家財の価格によって保険料が異なります。保険期間が残ったまま解約をする際は、日数に応じて返金の対応をしてくれる場合がほとんどです。
重要事項説明
契約者に対して、契約・条件・特約の内容、建物の構造・設備の内容、物件の所在地・登記名義人・登記簿の内容などについて説明するのが「重要事項の説明」です。宅地建物取引業法第35条に規定されているため、「35条書面」と呼ばれることもあります。
宅地建物取引主任者の資格を持った者が、免許を提示した上で説明を行います。
特に注意して見て欲しい部分が「建物の設備」です。賃貸では建物の設備としてカウントされているものは、故障した際に家主(貸主)の負担で修理してくれます。
たとえば、エアコンが設備とみなされていない場合、前の入居者が設置してそのまま残していったケースが考えられます。もともとの設備ではないので「使っても良いけど壊れたら自分で直してね」ということになります。テレビのアンテナが設備としてみなされていない物件もあります。
保証会社
最近では契約者(借主)に加入を求めるケースが増えてきています。
要は「あなたが家賃を滞納したときには保証会社に立て替えてもらいます。あなたには保証会社からの督促がきます。」ということです。不動産会社からすれば、滞納された家賃の回収ほど無駄な仕事はありません。
滞納された家賃の回収を専門にする会社なんて、考えただけでちょっと怖いですね。
ペットとともに生活する場合
そもそも賃貸物件でペットを飼うこと自体お勧めしません。
猫が柱で爪を研ぎ、柱1本を丸ごとダメにしてしまったケース。犬が汚物をまき散らし、適切な清掃をしなかったために床や壁を張り替えたケースなど、大きな問題に発展しやすいといえます。規模にもよりますが、この2件のような大きな施工になれば20~30万円以上は覚悟してください。
異臭や騒音(鳴き声)での近隣トラブルは避けられません。
それでもペットとともに賃貸物件に住む場合は、家賃に「ペット料」が加算されることが有ります。「ペット料」は「修繕積立金」としてのニュアンスが強いのですが、契約書に明確に明記されていない場合はかなり危険です。「修繕積立金」がいくらあれば、どのように原状回復費に充てられるかが不明確です。
たとえば、10年間「家賃+ペット料」を払い続けたとします。10年分のペット料が修繕の積立金だとしたら、ちょっと割に合わない気もします。にもかかわらず、契約書に明記されていなければ、退去のときに原状回復費として清掃費の超過分を不動産会社から請求されるかもしれません。念入りに確認して、しっかりと理解しておいてください。
まとめ
契約する際に必ず出てくる用語を簡単に説明しました。詳しく書けば長くなってしまうので、今回はここまでです。
住んでみてから「隣にこんな人が!」、「こんな時間にうるさい車が!」なんて感じるかもしれません。集合住宅には、いろいろな出身・経歴・職種・世帯の人がいるので、期待し過ぎないような心構えも必要です。