不動産投資のスタートアップ講座 ~買うべき物件を見極める!現地調査編〈後編〉

不動産投資を始めてみたいけれど何から始めていいの?と言う方のための「スタートアップ講座」。
現地でおこなう物件調査と、ヒアリングについての後半です。
前半をご覧になっていない方は、こちらを先にご覧ください。

不動産投資のスタートアップ講座 ~買うべき物件を見極める!現地調査編〈前編〉

2)管理体制と入居者のマナー

Check Point◎ズサンな管理は物件価値を上げるチャンス

一棟物件と区分マンションでは、管理体制に対する見方が全く違います。
一棟物件の場合は管理面がイマイチでも、購入後にほぼすべて改善することができます
たとえばゴミが分別されていない、自転車置場に放置自転車がある、植栽が伸び放題など管理体制のアラはいくつもあります。これらの管理不足はむしろプラスポイントで、少しのお金と手間をかければすぐに改善するので、思ったより簡単に物件価値を上げやすいのです。
これが区分マンションになると、放置自転車を片付けるだけでも理事会に議案を提出して、各戸の所有者から承認されないと撤去できません。
「マンションは管理を買え!」と不動産業界ではよくいわれていますが、たしかにその通りでいくらズサンな管理体制であっても、すぐ改善できないのが難点です
区分マンションを購入するときは、管理状況や管理規約をしっかり確認しましょう。

[意外と知らないミニ知識]
空室の郵便ポストをそのままにしていると、チラシがどんどん溢れて散乱します。これを防ぐためにポストの入口をテープで塞ぐのですが、茶色のガムテープや管理会社のオリジナルテープを貼っている場合があります。どちらも悪目立ちして空室アピールになってしまうので、透明のテープを使うようにしましょう。

Check Point◎入居者のマナーは大家次第で変わる

一般的な入居審査をしていれば、特定の物件にマナーの悪い入居者が集中することはほとんどありません。
それでも入居者マナーが悪い物件というのは、2パターンの原因が考えられます。
1つは普通の入居者さんがマナー環境の悪さに毒されてしまい、もはやルールを守るのが馬鹿らしくなっている。もう1つは管理会社さんの入居審査が甘く、前オーナーさんもズサンで、ここだったら悪い入居者さんでも受け入れてくれるというイメージが物件についてしまっている。
賃貸契約書の中にはルール違反者に対して契約解除できるという文言があるので、それをチラつかせて話をするだけでも入居者マナーは改善するものです
実際に退去させる場合は裁判になるので大変ですが、まずは自分と管理会社さんのやる気次第でいくらでも変えることができます。

 

3)物件の雰囲気

Check Point◎自分の肌感覚を信じる

物件の雰囲気は肌感覚が大事で、それこそ現地にいかないと分からないものです。
ゴミも落ちてなければ放置自転車もないのに、何かそこにいると嫌な感じがある。こういった雰囲気や空気感のようなものは、30分ぐらい現地にいると分かるものです。人それぞれ性格や価値観は違いますが、「なんか気持ち悪いな〜」と思う感覚は共通しているので、入居者さんも同じように感じていることが多いです。

雰囲気や空気感を悪くする原因としては、過度な湿気と日当たりの悪さであることが多いのですが、これらを全く気にしない入居者さんも一定数いるのが迷いどころです。
都市部の繁華街にあるマンションなどは、隣の建物との距離がほとんどなく、良い日当たりが確保できているものの方が少ないくらいですが、それを上回る利便性と高い入居率を維持しているケースが多くあります。
そういった繁華街にある物件と、郊外や住宅地にある物件は分けて考えましょう。

 

4)周辺の環境と需給状況

Check Point◎騒音と臭いに注意

周辺環境を調べる上で、現地にいかないと分からないことは「騒音と臭い」です。
とくに忌諱施設といえば墓地や宗教施設や組事務所などもありますが、一般的にマイナス要因となるのは騒音と臭いを出す施設です。代表的なものは下水やゴミの処理場、食肉処理場、一部の飲食店(中華料理店など)などです。
パチンコ店やラブホテルは立地によって違います。たとえば駅前物件であれば、さほど気にすることはないでしょう。

[意外と知らないミニ知識]
ほかにも周辺環境で注意すべき点は、線路沿いや幹線道路沿いの物件です。
都市部の在来線沿いにある単身者向け物件は、駅近で入居者さんが日中家にいないことも多いので、線路沿いであっても入居率に大きな影響はないことが多いです。逆に問題なのは地方にあるJR線沿いの物件で、真夜中に寝台列車や貨物車両が走るのでうるさいです。
また、幹線道路は線路沿いよりも騒音が激しく、とくに高速道路の出入口付近は相当やかましいです。高速道路は高い位置にあり防音壁音で音や振動を吸収していますが、出入口は位置も低く防音壁が設置されていないので音が目立つのです。気の利いた分譲マンションは二重サッシで音を遮断していますが、安い賃貸アパートではそこまでの防音設備はありません。
ちなみに都市部の高速道路では、なぜか夜中に暴走族がよく走っているので、周辺物件を買う時は気をつけた方がいいでしょう。

Check Point◎需給状況を冷静に見極める

10年程前は現地に行って周辺の競合物件を探して、1つ1つ足を使って入居率を調査していました。これは今でも非常に有効なものですが、厳密に言うと1日で終わるものではないですし、住宅地図を印刷してチェックする方法もありますが労力がかかります。
今はインターネットで地図と賃貸募集サイトを見比べ、どれほど物件がダブついているか確認することができます。収益物件検索サイトHOME’Sの「見える!賃貸経営」というのがあるので、そこで競合物件の賃貸需要を見てみましょう。

HOME’Sの「見える!賃貸経営」http://toushi.homes.co.jp/owner/

現地で調査するときは、注意点が2つあります。
1つは同じような間取りの競合物件を調べることです
周辺の単身者向け物件が空室だらけでも、買いたい物件がファミリータイプであればほぼ影響はありません。どんなに単身者物件の家賃が安くても、家族で2部屋借りることはないのでまったく競合しません。
あと1つは、自分の物件の入居率を気にしないことです。
自分の物件の入居率が悪いと、周辺の需給環境も悪く見てしまうことがあります。現状の管理体制だからその空室率なだけで、その地域の正しい需給状況とは関係がありません。自分の物件と地域の需給は切り離して考えてください。
どんなに需給環境が悪くても満室経営をしている大家さんはいますし、その逆もしかりです。

[意外と知らないミニ知識]
使い古されたノウハウですが、空室を見分ける確実な方法はガス栓を見ることです。
電気は大家さんがリフォームや内見のために通していることがあり、カーテンは入居対策のために備え付けている部屋もあるので、ガスメーターの栓を見るのが1番確実です。
しかも、電気メーターは各戸についていますが、ガスメーターは外にまとめて設置してあるので確認がしやすいという利点もあります。
 
また、現地確認で使えるアイテムとしてお薦めできるのは「バインダー」です。
住宅街をウロウロしているだけで通報されてしまう時代ですが、バインダーに物件資料を挟んでおけば何かの調査員っぽく思われて怪しさが軽減されます。もし近隣の人に何か聞かれた場合は売物件調査をしていると正直に答えましょう。
その他にもマニアックな道具として建物の傾きを見る「水準器」、ひび割れの幅を計る「クラックスケール」、コンクリートやタイルなどを叩いて音で調べる「打検棒」などがあります。
とはいえ、この3つは他のものでも代用可能です。

 

◎ステップ2 満室にするためのヒアリングスキル

物件購入を検討するときは、近隣業者さんに賃貸市況のヒアリングをおこないますが、初心者さんの多くはこの「ヒアリング」が絶望的に下手です。というより、ヒアリングの意味をはき違えていると言った方が適切かもしれません。
駅前の賃貸募集会社を訪問して「この物件、どうですかね?」と聞くことがヒアリングだと思っている人が多いです。

Check Point◎仲介会社さんが賃貸市況にネガティブな理由

売り物件の資料をもって業者さんを訪問した際に、「このエリアは問題ありません!黙っていても入居が決まるんですよ」なんて回答を皆さんは聞いたことがあるでしょうか?
賃貸募集をしている不動産会社の社員さんは、基本的に自分のエリアにある物件を実際より悪く考えているので、訪問する側もそういった前提で話を聞かなければなりません。
ストレートに質問をしても意味がありませんし、出てきた回答を素直に受け取ってもいけないのです。
なぜ不動産会社の社員さんはネガティブな回答をするのか。それにはいくつも理由があります。
まず、賃貸募集の会社が日頃いちばん目にしている物件は「すぐに決まる部屋」ではなく、「いつまでも空室のまま残っている部屋」です。すぐに入居が決まっていたり満室が当たり前のアパート・マンションは、業務の中で接する時間が圧倒的に少ないので印象に残りづらいのです。
そして日頃よく接するのは、入居が決まらず困っている大家さん。物件のバリューアップにお金を使おうという気がないので、募集する側としては「家賃を下げてくださいよ」という話ばかりをするようになります。
結果として、仲介会社の社員さんの周りには「家賃を下げないと決まらない物件」と「家賃を下げましょうとしか提案できない大家」ばかりになります。ヒアリングをしても、なかなか良い反応が得られないのも当然です。

Check Point◎全ての会話は「満室」に向かう

では、どのようにヒアリングを進めていけば良いのでしょうか。
エリア特性や家賃と広告料の相場、人気のある設備やターゲットとなる入居者層など、聞くべき項目は種々あるのですが、大切なのは「どうしたらこの物件で満室経営ができるか」という目標に向かって話をすることです

家賃設定についての質問は「どの家賃なら満室にできるか」ということを知るためのものです。
人気の設備についての質問は「満室に不可欠な設備は何か」ということを知るためのものです。
広告料相場についての質問は「満室に向けて頑張ってもらうための費用」を知るためのものです。

様々な方向(=質問)から「満室になる方法」を探り、「では、こういった設備を付けて◯◯円の家賃で、広告料を◯ヵ月支払えば満室がキープできそうですね」という結論を導くのです。そしてよほどのエリアでない限り、上記の「満室になるための条件」は導き出せます。
あとはその条件を実現するための費用が、ご自身の投資基準に合っているかどうかを判断して購入可否を見極めれば良いという訳です。

「駅から遠いからダメだ」で終わらせるのではなく、「徒歩15分なら、徒歩10分に比べて家賃をいくら下げれば埋まるのか」という質問をしましょう
「築年数が古いからダメだ」という意見を聞いて諦めるのではなく、「いくらの家賃なら新しい物件と比べて割安感が出るのか」「最低限、補完しておくべき設備はなにか」という戦略について仲介会社さんと作戦を立てましょう。

ここまでお読みいただいたらお気付きかと思いますが、ヒアリングスキルを向上させていく過程で、ご自身の賃貸経営もレベルアップしていきます。
「大家力」とは結局のところ、「どうしたら決まるか」を真剣に考えていく中で養われていくものだからです。

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