【連載】お金をかけずに1000万円稼ぐ! 新築は「間取り」に知恵を絞ろう

アパートを新築する際、最も力を入れたいのは間取りの企画です。間取りをゼロから考えられることは、新築ならではの魅力です。設計士さんに任せきりにするのではなく、自ら手を加えることにも積極的に挑戦しましょう。より入居さんに選ばれやすくなった物件は、必ずや皆さんに大きな収益をもたらしてくれるはずです。

間取り調整の実例をご紹介

実際に弊社で間取りを見直したケースをご紹介しましょう。土地購入の段階で既に参考プランがあるとのことで、早速確認してみると次のような状態でした。

1フロア4戸合計10戸、18.6平米のワンルーム。プランを入れたのは有名な中堅メーカーさんでしたが、それにしてもこの間取り、随分よろしくないですね…。

<よろしくない点>
①窓が片開きで半間(w900mm)しかない。
⇒まるで安いホテルみたい。一間(w1800mm)の掃き出し窓にしたい
②玄関からキッチンまで廊下が大半をしめ、ベッド脇もほぼ通路
⇒有効な居室面積が重要です。せめて6.5帖はほしいところ
③独立洗面化粧台、脱衣所が無い
⇒これらの人気設備がないと賃料が伸びません
④キッチンは1口コンロ? シンクも小さいミニキッチン、冷蔵庫は置けるのか?
⇒住む人の生活を考えれば、2口コンロ、システムキッチン、冷蔵庫の位置も重要
⑤靴入れもない

決して住みやすい間取りではありません。完成してもきっと不人気でしょう。諸悪の根源は各室の間口の狭さにありそうです。W2275では、キッチンの配置などがどうしても非効率になります。

そこで、付き合いのある設計士さんに図面を引き直してもらいました。この敷地は横長なので、建物の向きを90度変えれば各戸の間口を広くとることができ、もっと良い間取りが入りそうです。幸い2方向に道路があり、窓先空地等の問題もなさそうです。

 【変更1】

向きを変えただけで随分良くなりましたね! 代償として「駐輪場」が失われましたが、本物件は駅から4分以内の立地であり、電車通勤者がメインターゲットであったため、ここは自転車利用よりも専有部の充実を優先するべきと判断しました。

各戸W2600以上にしたことで、居室の有効面積が増えました。間取りも1Rから1Kに変わりました。しかし、まだ改善したい部分があります。

<惜しい点>
①独立洗面台を設置したが、その場所が微妙。
⇒気持ちの良い朝、洗面台に向かってもやる気スイッチが入らない
②脱衣所ない。
⇒彼氏彼女が遊びに来た時、きっと気まずい思いをさせてしまう
③キッチンは2口コンロになったがW1200
⇒まな板を置いて、本格的な調理をするにはW1500がほしい

そこで「多少は居室を犠牲にしていいので、脱衣所をつくり、そこに洗面台を入れてみてください」と、再度修正依頼をしました。そして来たのがこちら。

【変更2】

オーダー通りに書き直してくれました。しかし、中央の2部屋の居室の形がいびつ(不整形)です。これでは使いにくいですね。また、お風呂に入る時のトイレの位置も気になります。惜しい。しかし、あと一歩です。図面に赤ペンを入れます。

洗濯機置場は脱衣所から廊下に出してもらいました。これで居室の形も整います。そのほか収納の幅の調整などいくつか細かいところを直してもらい、結果は次のようになりました。

【最終案】


居室は当初より0.5帖狭くなりましたが、6.5〜7.0帖の空間が整形に取れています。キッチンはW1500で2口コンロ。脱衣所があり、洗面化粧台が入りました。大きくはありませんが靴入れもあります。これで当初の<よろしくない点>は全クリアです!

◆before

◆after

同じ土地、同じ戸数でありながら、beforeとafterでは居室の過ごしやすさも、水廻り設備の快適性も高まりました! 確かに建築会社や設計士さんはプロですが、その提案が必ずしもベストであるとは限りません。冒頭でも述べましたが、間取りをゼロから考えられる点は新築の大きな魅力です。住む人の立場でしっかりと考え、「人気物件」となる間取りを見つけましょう。

同じコストで物件価値に大きな差がつく

ではbeforeとafter、経営面ではどれだけ差が出るでしょうか。仮に、両者の賃料差異が各戸5000円ある場合、
5000円×総戸数10戸×12ヶ月で年間60万円の収入の差が生まれます。そして、この市場の表面利回りが7%であるなら、直接収益還元法では、
物件の価値の差は60万円÷7%=857万円と算出できます。

また、保有中の収益については、毎年60万円のグロスの増収があるわけですから、空室損失と運営費(概算20%)を控除したネットの収入(NOI)は
60万円×80%=48万円となります。仮に賃貸経営が30年続くとしたら、
48万円の増収×30年=1440万円です。たった5000円の賃料差が、最終的には非常に大きな差となって現れます。長期間にわたる賃貸経営では、新築の間取り企画が本当に重要ですね!

仕事柄、沢山の収益物件を見ますが、折角の新築アパートでも「もう少し工夫したら良かったのに、残念だな」と思うことが多々あります。成功の鍵は、ひとえに「入居者さんが住みたい!と思うもの」を企画することに尽きるでしょう。家具の置き場所、生活の仕方など、入居者さんの生活をしっかりとイメージして、それを間取りに反映してください。建築費は大きく変わりませんので、このケースのように少し自分の頭を使うだけで「1000万円の得」をすることも可能かもしれませんよ!

とはいえ、得手不得手はあると思いますので、自分で考えることに不安がある場合は専門家に相談を。弊社も無料で収益物件の間取り相談を承っています。是非ご相談ください!

筆者:(株)アートアベニュー片平
弊社は首都圏の賃貸物件約7000戸をオーナー様からお預かりし、不動産管理に経営者思考を取り入れた「プロパティ・マネジメント(不動産経営管理)」を行なっている不動産管理会社(PM会社)です。本連載では、PM会社ならではのノウハウ、業界のリアルな裏話などをご紹介していきます。

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメント(不動産経営管理)の草分け的存在として業界からも評価される不動産管理・コンサルティング会社。日常の経営管理業務のみならず、オーナーの投資目標に合わせた売買・組替相談、不動産財務分析、建築企画、相続支援等もおこなう。代表の藤澤雅義氏は、日本でのCPM®(米国不動産経営管理士)を認定するIREM JAPANの2003年度会長。
http://www.artavenue.co.jp/

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