賃貸物件を借りる際に利用される保証会社。今では連帯保証人よりも一般的になり、保証会社利用が必須の物件も増えています。この保証会社はどのような役割を話し、借主はどのように選択していくかをご紹介します。
貸主のメリット
保証会社とは?
通常賃貸物件を契約する際には保証人が必要です。保証人とは、借主が家賃を払えなくなった場合に、借主に変わって家主が家賃の請求を行う人になります。保証会社は、手数料を取って、この連帯保証人となります。近年では、連帯保証人ではなく保証会社を使う物件が増えています。
保証会社の役割
保証会社の役割は、賃料が払えなくなった借主に変わって家賃を立て替えることです。これにより大家さんは、家賃の未回収の心配がなくなります。
1. 家賃の回収
連帯保証人よりも保証会社の方が確実に家賃回収ができます。借主が家賃を滞納しても、保証会社がその家賃を立て替えて支払い、立て替えた家賃は保証会社が借主に請求するので、大家さんは手間なく確実に安定した家賃収入を得ることができます。
2. フィルター
保証会社を利用するためには審査があります。審査を通らなければ、保証会社を利用することができません。つまり、過去に家賃トラブルやカードトラブルがあった、または、収入面や仕事面で不安やリスクがある人は保証会社に利用を断られてしまいます。大家さんはここで「家賃が支払えないリスクがある」人をはじくことができます。
3. 訴訟の代行
家賃が全く払えず、立ち退きや訴訟が必要になった場合も保証会社が対応してくれます。訴訟に関わる一切の費用を保証会社が代行します。家賃の立て替えをしてくれる、リスクのある人を審査ではじいてくれるという大家さんにとってありがたい役割を果たす保証会社ですが、何よりも、大家さんの費用負担がなくこれが実現できることが大家さんの最大のメリットと言えます。
保証会社を利用するのは借主のため、借主がその費用を払います。かつては、身寄りのない人や親族に連帯保証人を依頼できない人のために活躍していた保証会社ですが、今では一般的になっています。
また、突然の事故や病気で家賃の支払いが難しくなった場合にサポートしてくれる保証会社もありますので、借主にもメリットがあります。
保証会社との契約
保証会社を利用する際の料金は、1ヶ月分の家賃の30~100%が相場と言われています。賃貸物件の契約の際に、火災保険などの初期費用とあわせて請求されます。また、10,000~20,000円更新料が年に1回発生します。保証会社は管理会社や家主が決めます。入居者が自由に選択することはできません。
保証会社を利用することで、借主はその費用を払わなければなりません。連帯保証人をつけて無駄な費用はカットしようと考え、管理会社や大家さんに「保証会社は使いたくない」と伝えるのはおすすめできません。なぜなら、「この人は保証会社が利用できない経歴なのか」と疑われてしまうからです。
物件の契約条件で「保証会社利用必須」であれば従うしかありませんが、その条件がない場合、保証会社の利用を断ることができます。しかし、そうすると大家さんにとっては不安要素しかありません。審査に落ちる人なのではないか、夜逃げするのではないか、連帯保証人は本当に家賃を支払えるのか、など大家さんはその借主に対して不信感を抱き、契約を進めない場合も考えられます。
もし、保証会社を利用したくなければ、家賃がしっかりと支払うことができると証明しましょう。仕事に就いたばかりの人は内定通知書、現在の収入を示すものや確定申告、預金の残高を示す通帳のコピーが有効です。もしくは、敷金礼金を多めに払ったりすることで、大家さんの不安要素を排除することができます。また、連帯保証人(親族であり、友人など家族以外はNG)を立てる場合は、年収の証明や確定申告を提出する必要があり手間がかかります。保証会社利用必須の物件はこのように交渉の余地はあるものの、大家さんに「NO」と言われれば保証会社を利用するか、その物件を諦めるしかありません。絶対に保証会社を利用したくないのであれば、保証会社利用必須でない物件を探していきましょう。
保証会社の審査
保証会社を利用する際には、審査が必要です。チェックされる書類審査の内容は、職業、雇用形態、勤続年数、年齢、年収、滞納履歴です。他にも、会社の規模や社会保険に加入しているかどうか、安定した職業かが判断基準となります。また、勤続年数が少なかったり、パートやアルバイトの雇用形態であると審査に落ちやすくなります。全ての審査に落ちてしまった場合は、保証会社利用必須ではない物件を探した方が賢明です。水商売の方でもしっかりした収入があれば、保証会社によっては審査が通ることがあります。
保証会社は他にはどんな項目を審査するのでしょうか。本人情報だけでなく、物件の状態も審査対象になります。例えば、家賃は手取り収入の3割程度になっているかどうかです。通常、保証会社同士で利用者の履歴を共有していないので、1つの保証会社の審査に落ちても、また次の保証会社の審査を受けることは可能です。過去に家賃を滞納したことがある保証会社があっても、他の会社はそのことを知らないので現在の状況の書類を審査するということです。しかし、過去に滞納を繰り返し、夜逃げや訴訟に発展したケースがあれば悪質性が高いので、そのデータは保証会社が加入している全国保証業協会に登録されています。
もし、複数の会社にトライして全て審査がおりなければ、信用がないと判断されています。過去に家賃を滞納したり、現在借金があったり、クレジットカードのブラックリストに載っているいると審査は通りづらくなります。保証会社もできるだけリスクは取りたくないので、過去に何らかのトラブルがある人の保証人になるのは避けようという考えは当然と言えます。
審査にかかる日数は、3日〜10日ほどと言われています。審査が遅い場合は、書類に不備があり精査している場合があります。他にも、大家さんや担当者が不在で審査が進んでいないこともあります。一方で、審査に落ちる場合は、早くて翌日に審査に落ちたという連絡が入ります。審査に落ちるということは、過去に家賃の滞納があったり、収入や会社の状況が物件にそぐわないと判断されたということです。保証会社が所有しているデータを見たり、個人情報を確認するだけなのですぐに結果が出るというわけです。
保証会社利用で気をつけたいこと
保証会社を利用する上で信用が何より大事だということがわかりました。家賃を継続的にしっかり収めているかという記録は残り、次回保証会社を利用する際にもその情報はしっかりと残ります。
しかし、もし家賃を滞納してしまうと取り立てが厳しいことが保証会社のデメリットと言われています。保証会社も家賃を滞納されると立て替えて支払わなければならず、それが続けば会社の経営がまわらなくなります。そういった背景もあり、1ヶ月、家賃を滞納すると電話で督促があり、数ヶ月で訴訟に向けた内容証明が送られてくることもあります。家賃が払えなくなった時に代わりに支払ってくれるので便利な会社だと思いきや、借金をしているのと変わりないので厳しい取り立てが行われます。
保証会社は大家さんのためのものでもある
保証会社の役割や審査について解説してきました。前述した通り、保証会社を利用することは大家さん側に大きなメリットがあるためです。安定的に家賃が確保できて、家賃の支払いに心配がある経歴を持つ人は事前に保証会社が審査で落としてくれる上に、大家さんの費用負担なく保証会社を利用できるからです。借主は、クレジットカードの支払いが滞っていたり、家賃の滞納が過去になければ、まず、保証会社の審査に通ると考えられます。1つめの保証会社で審査がおりなくても、保証会社はたくさんあるので審査が通るまで繰り返しトライすることができます。不動産会社もここを熟知しており、審査が通りやすそうな会社を選んでくれることもあります。
どうしても保証会社を利用したくない場合は、大家さんに直接安定した収入や家賃を支払う根拠を並べて交渉することも可能です。しかし、保証会社を避けたいという交渉は、大家さんにとっては不信感を抱かざるを得ないので心象はよくないでしょう。そのため、保証会社利用必須でない物件を探す方が、労力が少なくてすみます。
このように保証会社利用必須の物件や保証会社自体が、社会構造や大家さんのニーズによりこれからもどんどん増えていくと考えられます。