サラリーマン大家には地方投資が最適!その魅力とメリット・デメリットを深掘りしてみた
2020 年の東京オリンピック開催決定もあり、首都圏の不動産投資が盛り上がっていると言われてきましたが、2019年も末が近づき、新たな投資先を探す時期が来ました。
「投資は都内がいいんだ」という人もいますが、サラリーマン大家を目指す人にとっては、都市圏だけでなく地方投資も人気があります。
そこで今一度考えたい、地方投資のメリット・デメリットについて解説します。
そもそも地方投資の「地方」とは?
まず最初に確認ですが、地方都市の「地方」とは、どの地域を指すのでしょうか?
答えは人によってまちまちですよね。一都三県(東京・千葉・埼玉・神奈川) 以外を地方と考える人もいれば、東京と大阪以外を地方という人、また「札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡・広島は都市だ」という認識もあるでしょう。
ここでは、あえてどこが都市で、どこが地方なのかという定義づけをおこないません。あなたが地方だと思ったところが地方。そのように考えていただいて問題はないかと思います。
東京以外は人口減が起こっている
ただし、日本は一極集中が進み、東京は人口が増え続けているけれども、それが以外はすべての都道府県で人口減が起こっているというのは事実です。
昨年日本で減少した人口ってどれぐらいだと思いますか?
なんと秋田市一つ分の人口がまるっと減ってしまったんです。これってかなりの数字だと思うのですが、東京以外の地域で少しずつ減っているので気がつかないわけですね。
では、地方投資に魅力はないのか?といえば、そんなことはありません。大きな流れとしては、県庁所在地や経済の中心地への流れは明らかであり、そういった地域では物件の活性化が起こっています。
つまり、地方であっても、人が集まる地を選べば、都市部と変らない賃貸ニーズがあるということ。ここが大きなポイントとなります。
首都圏に住んでいると、「地方に魅力はない」と感じるかもしれませんが、決してそんなことはないわけです。首都圏といわれる場所でも、東京のはずれや、千葉・埼玉・神奈川のはずれとなれば、地方と変わりません。物理的に行きやすいというだけで、むしろ危険場所だってあります。また会社は地方にもあるわけで、その会社に行くには地方に住むわけです。つまり、全ての人にとって首都圏がいいということはないのです。
日本での人口減少が起こっていても、地方だからといっても急激にすたれるということはありません。「地方だから人口減少で不動産賃貸業が立ち行かない」と断定するのは早計。都市部でも地方でも、しっかりとした目利きで物件を見極めれば、十分に戦っていけるということです。
地方投資のメリット
ではここから、地方投資のメリットを見ていきましょう。
◎都市部に比べて利回りが高い
まず最初にあげたいのは、都市圏に比べて利回りが高いこと。これは大きなメリットです。
都市圏は相対的に物件の売買価格が高くなっています。売買価格が高いということは、返済比率も高くなりがち。金融機関にもよりますが、返済比率が家賃の6割くらいに設定されているところが多く、昨今の不動産環境を見れば、返済比率はますます高くなっています。
不動産投資の場合利回り9%、10%が理想的な数値ではありますが、現状で都市圏の利回りは6%~7%程度。これでは十分とは言えません。
そこで、高利回りを狙うと地方投資しかないことになります。
◎頭金が少なくても物件を購入できる
昨今の様々なトラブルにより、銀行は以前ほど簡単に融資をしてくれなくなりました。こうなると自分の持っている自己資本比率が高くなるような物件を購入するしかなくなります。
先ほども述べたように、都市部の売買価格は上昇しています。こうなると自己資本である程度まかなえる物件を購入するには地方投資しかありません。
自ら「地方投資がしたい」というよりは、消去法で「地方投資しかなかった」というサラリーマン大家は今後ますます増えていくでしょう。
◎積算評価が出やすく融資に有利
利回り以外にも、融資が付きやすい理由があります。それは、積算評価(土地と建物を足した銀行評価額)が高く出やすい、ということです。
都市圏と地方では、「地価と相続税路線価の差」が変わります。相続税路線価というのは、その名の通り相続税を計算するためにありますが、実際の地価を元につくられているものの乖離が大きく、それは都市部に行くほど拡大する傾向にあります。
例えば、都内の一等地では、相続税路線価と地価に3倍の差があるエリアもあるほどです。それが地方になると路線価=地価となることが多いのです。金融機関はそういった乖離を考慮せず、一律、路線価もしくは路線価の何掛け、といった土地評価をおこないますので、地方の方が高い銀行評価が出やすいのです。
◎賃貸経営のレベルで差をつけやすい
投資物件は管理運営によって収益に差が出てきます。
実際には、都市圏、地方は関係なく、それぞれに差があるものですが、都市部は地方に比べて賃貸ニーズがあることから、経営レベルがさほど高くなくても入居が決まる傾向があります。
しかし、需要の少ない地方では、大家さんによりその差は顕著。情報をしっかり取り入れて勉強し、行動力のある大家さんの物件には価値が高まり、入居がつきやすくなります。努力と行動を起こすことで、賃貸ニーズ自体は劣るものの、都市部の平均以上の入居率を維持することが可能なのです。
◎エリアによるニーズのムラがある
入居者のニーズも都市部に比べるとムラがあります。先述した通り、地方でも人が集中するエリアがあります。そういうところは、都市部と変わらない入居率がありますが、遠隔地に住んでいると、なかなか掴みにくいという実情があります。
ポイントは、東京などの都市圏と違って、「駅から近い」というわかりやすい指標がないことです。
例えば、通勤に便利な道路に出やすい、ショッピングモールや大型店舗が立ち並ぶ街道へ出やすい、といったことが求められるのですが、こういった街道沿いは道が渋滞して、休日は騒がしくなるため、「ショッピングモールに近ければいい」という話でもありません。
また、ファミリー層は学区について気にします。この学区であれば、必ずファミリー需要がある……という地域もあります。
このように都市部とは違った賃貸ニーズがありますので、これらをきちんと押さえることで、都市部より安い価格で、有利な融資を受けて、高利回りの入居率の高い物件を購入することができます。
地元の投資家やそのエリアに詳しい投資家はよく事情がわかっていて、物件購入するときは立地選定をしっかり考えています。その都市のどの地域で購入するのかまでリサーチすることで、投資の成功率が高まります。
地方投資のデメリット
このように成功の余地のある地方ですが、当然のことながらデメリットやリスクもあります。
◎入居率が少なく、需給バランスが変わる可能性がある
転入数が東京とは比べものにならないほど少なく、入居率そのものが少ないのが地方です。
そうなれば、大家さんの努力でいかに魅力的な物件を作っても意味がありません。そういう需要の少なさは大きなデメリットです。
大学、工場の閉鎖や移転による空室問題は、そもそも賃貸ニーズのパイが小さいため、大きな影響が出ます。
また、よくありがちなのは、大型商業施設が新たにできることで需給関係が変わる、ということです。例えば、JRの駅の西側に官庁があるような市で、西側が市の中心となっている場合では、その逆側である東側の地価が安いです。この地価の安い駅の東側に、イオンのような大規模商業施設ができて人流れが変わり、駅の東と西の需給関係にも影響を及ぼすというケースです。
その他にも、地主さんが相続対策で、ハウスメーカー製の新築アパートを建てることも一般的です。新築が建ったとしても設定家賃が高いため、築古物件を所有する大家さんであれば、価格が違うため競合しません。むしろ競争力のある築浅の物件を持っている人ほど、競合して家賃下落する可能性があります。
◎家賃収入に対する運営コストの比率が高い
購入後の話になりますが、都市圏と地方では賃料単価に大きな差があります。
東京都のワンルームは、20㎡程度で7万円以上の家賃も珍しくありません。対して、北陸地方のワンルームは、おおむね3万円台です。
このように家賃が倍以上違っても、かかる経費はさほど変わりません。エアコンの値段は東京であっても、北陸であっても同じです。クロスの値段についても、労働単価は地方が安いとしても、材料費は変わりません。
固定資産税も土地は安いですが、建物の評価は変わらず収入に占める割合が高いのが特徴です。とくにRCの一棟マンションは高く、固定資産税が賃料の1カ月半程度かかります。
その他、エレベーターのメンテナンス費用、共有部の電気代、清掃費用など、家賃収入に関わらず、同じように固定費がかかり収益を圧迫します。
一般的な不動産投資の本をみると、「諸経費が15%から20%」とシミュレーションされていることが多いのですが、地方の融資評価がでやすい(積算評価の高い)RCマンションでは25%になることも珍しくありません。
◎優秀な管理会社が少ない
賃貸需要、経費のほかに、運用面でもリスクがあります。それは管理会社、客付会社の数が相対的に少ないことです。つまり、管理会社を選ぶことができません。
地方であっても優秀な管理会社はたくさんありますが、東京のように客付専門、管理専門とわかれている会社は少なく、管理会社が客付をやっているのが一般的です。
そして、優秀な管理会社ほどしっかりエリアを限定しているため、自分の物件がある地域に頼れる管理会社がなければ、客付に弱く伸び悩むことが予想されます。
地方物件を買うときは、どの管理会社に委託をするのか、あらかじめ調査する必要があります。
◎融資がつきにくい
「融資がつきにくい」ということは「買いにくく、売りにくい」という話になります。
融資がつきにくくなれば、地元の人しか買えません。当然のことながら、地元の人の方が選別眼は厳しく、「出口で収益がとれない」という状況にもなりかねません。
地方投資に向いている人の「3つの条件」
最後に、地方投資に向いている人の「3つの条件」をまとめます。
◎その地域の知識が豊富
「土地勘がある」というと、一時的に住んでいた、親戚がいる、といった親しみのある場所を指します。エリア選択では、そういった土地勘に頼りがちですが、一般的な土地勘は賃貸経営に役立ちません。たとえ地元に住んでいたとしても、「このエリアはシングル向けに需要ある」といった詳細な情報は、賃貸業をやっていないとわからないものです。
ですから、そういった土地勘より、需給関係を把握する方が大事です。どの辺に会社が多くて、どの辺から通勤しているのか……そういう知識が必要です。
◎管理会社と円滑なコミュニケーションがとれる
地方でうまく行っている人は、優秀な管理会社とよい関係を築いています。管理運営面で遠隔地に住んでいることはメリットになりませんが、管理会社が一生懸命やってくれる大家さんになることで、デメリットは払拭できます。
都心など情報を取りすいところに住んでいるメリットを活かして、地方の管理会社に情報提供するよう大家さんもいます。
◎フットワークが軽い
地方投資で成功している大家さんだからといって、頻繁に現地に行くことはありません。とはいえ、必要があればすぐ出向けるフットワークの軽さは必須です。隣町に行くような感覚で、飛行機に乗ってでもすぐに駆けつける行動力が求められます。
これは管理運営だけでなく購入時にも大切です。融資評価の出る物件情報がきたら、その週末にはすぐ行けるようなフットワークの軽い人は成功しているものです。
今は海外投資をおこなっている人もたくさんいます。パスポートがないと行けないところで投資をおこなう投資家がたくさんいる中、東京に住んでいれば日帰りで行けない場所はほとんどありません。遠方でも必要とあらばすぐ行動する、という心構えは必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
地方にはたくさんのメリットがあり、その反面、地方特有のデメリットもあります。自己資金が乏しく、融資に頼らざるを得ないサラリーマン投資家にとって、短期間に規模拡大するには地方投資が最適です。
これからは、ますます融資が厳しくなり、地方都市を行う大家が増加すると思われます。より良い物件を見つけ魅力的な投資をするために、自分が行きやすい場所、魅力的に感じる場所を探してみるのも最初の一歩かもしれません。
しっかりリスクを把握したうえでチャレンジしてみてはいかがでしょうか?