大家さんの確定申告2021。家賃給付金や未収家賃、値引いた家賃はどう処理すればよいか?

  • 2021/2/21
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いろいろあった令和2年(2020年)の確定申告の時期が来ました。持続化給付金だの家賃支援給付金だのと、これまでなかったお金が政府から支給され、それらの処理は?と困っている方も多いのではないでしょうか。

特に大家さんの中には、「去年の家賃をもらえていない・・・」と頭を抱えている方も多いかと思います。また、「値引いた家賃はどう処理すれば?」と言う方も多いはず。

そこで今回は、中山美穂税理士事務所に所属する税理士の中山亮さんにご指導いただきながら、大家さんが令和3年に行うべき確定申告のポイントをまとめてみます。

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不安が絶えなかった2020年

2020年は新型コロナが暮らしや仕事に大きな影響を与えました。個人消費は落ち込み、多くの企業が苦しみ、日本全体がどんより。しかも、世界全体が同時に苦しみ、このグローバル化が進んだ社会で他国に行けない事態になったのですから驚きです。

日本の家賃は経済の落ち込みの影響を比較的受けにくいと言われていますが、それはあくまで全体の話。大家さんからしてみれば、家を貸している賃借人が給料をもらえなくなったと言えば家賃は滞納されるし、店舗物件を飲食店に貸していれば時短営業で収入がないのではないか?とヒヤヒヤすることになりました。

と言いますか、今でも10都府県に緊急事態宣言が継続しているわけですから、そのひやひやは現在進行形といった感じですね・・・。そんななかでの確定申告です。

法人大家さんだけが手にできた「持続化給付金」

さて、まず取り上げたいのは持続化給付金です。

これは新型コロナの影響で売上に大きな影響があった中堅企業、中小企業、小規模事業者(フリーランス含む)に支払われた給付金で、個人事業であれば100万円、法人であれば200万円が支払われました。ところが大家業を営んでいる場合、個人事業主は対象外。一方、法人は申請可能という何とも摩訶不思議なものでした。

その背景にはいろいろとあったのですが、ここは確定申告に絞って話を進めましょう。法人として大家業を営んでいて持続化給付金をもらった企業の方は、当然計上しなくてはなりません。

持続化給付金は収入として計上します。事業所得売上です。売上に加算しなければなりませんが、消費税はかかりません」(中山さん)

国民ひとりあたり10万円が支給された「特別定額給付金」は非課税であり、確定申告の必要がないわけですが、この辺りは混同しないようにしなければいけませんね。

店子がもらった「家賃支援給付金」

次は家賃支援給付金です。これは、新型コロナに影響で売上が減少した中堅企業、中小企業、小規模事業者を対象としたもので、基本的に家賃の3分の2程度(法人か個人事業主かによって上限金額や計算方法の違いあり)が給付されました。賃借人(=店子)がこれに該当すればもらっているはずです。


ただし、給付されたのはあくまでも賃借人であり、大家さんが直接もらえたわけではなかったのはご存知のことと思います。大家さん側には、「この事業者に家賃支援としていくら払いましたよ」という連絡が来たのみなはず。

ここで注意したいのは、賃借人は新型コロナの影響を受けた事業者であり、家賃以外の支払いも滞っていた可能性がある点。中には家賃として払わず、他の支払いにそのお金を使ってしまった可能性もあると言うことです。

「事業者は家賃給付金として国から給付をうけています。個人的な見解になりますが、このお金は家賃を払うためのお金ですから、大家さんはその権利を主張することができると考えています」(中山さん)

たとえば、家賃月額75万円で法人企業に貸していたにもかかわらず、家賃を20万円ずつしか払ってない状態が6ヶ月間継続したと仮定します。すると、本来450万円もらえるはずだった家賃は120万円しかもらっていないことになります。つまり330万円滞っているわけです。

法人であれば、家賃支援給付金として300万円受け取っているはずですから、大家さんとしては、「この300万円は、滞っている330万円の一部に充ててもらわないと困る」ということを主張する権利があるということです。

実際、家賃を払えなかったという事業者は多くあります。しかも、通常であればしつこく請求していた大家さんも、「事情があるだろうし、家賃給付もあるかもしれないし・・・」と請求を待った方もあったと思います。この家賃給付が無事、大家さんのもとに払われていることを願います。もし、支払われていない場合、請求してください!
温情はしっかり返してもらうべきです。

値引いてあげた家賃はどう処理すればよいか

2020年は余裕のある大家さんは家賃を減額したり、あるいは「1ヶ月分払わなくてよい」などとした方もいらっしゃったと思います。

また上記の例で言えば、本来であれば75万円のところを月20万円しかもらわず、家賃給付300万円をそのまま貰えたとしても、「差額の30万円はチャラにする」とした方もいたことでしょう。

これらの場合、大家として、この減額分分はどのように処理すればよいのでしょうか?
なぜなら、例年であれば店子に対して贈与したことになっていたからです。

2020年については、棒引きした家賃分は家賃収入として計上しなくてよいことになっています。これは2020年の特例です。

具体的には、白色申告でも青色申告でも、決算書に備考欄があると思いますので、そこに「借主の○○に対してはコロナの影響により家賃の回収が難しいと思われるため契約を結び、○万円については回収しないこととしたため家賃収入には含めておりません”などと記載します。

ただし、店子との間で書面を交わすようにしてください。なぜなら、家賃を棒引き押したのか、ただの贈与か分からないからです」(中山さん)

もし、書面なんてかわしてない・・・という方は、今からでも取っておいてくださいね。

未回収の家賃があるまま年度が変わってしまった場合、どうなるか?

最後に気になるのが、家賃が遅れたまま年度が変わってしまった場合、どのように処理をすればいいのかという点です。
おそらく、家賃が未収のまま年を越してしまった大家さんは決して少なくないと思います。

単純に遅れているだけと言うならいざ知らず、年が明けても緊急事態宣言が再発令され、まだまだ経済は低迷したまま。このような状態で、回収できない不安を抱えながらも確定申告をしてしまえば、しっかりと税金は払う義務が生じるわけで、そのお金はどこに?と思っている大家さんもいるはずです。

「よくある例として、昨年の3月までは通常通り家賃をもらっていたけれども、4月から一部しか払われていない。さらに、9月~12月は値引きし、遅れている分を払う約束をした。ところがその分すら払ってくれず、年が明けて一部だけ払われ、もう少し待ってくれと言われた。『このままだと貸し倒れになりそうだけれど、まだそう決まったわけではない』という状態ですね。

この未収家賃については、売掛金として計上します。つまり家賃としては、正式に書面を交わして値引きした分以外は支払われたという前提で納税をすることになります。仮にこの先、貸し倒れてしまったら、そこで初めて損失になりますが、それは今年のこと。昨年分は家賃として支払われた前提で納税は先行するということです」(中山さん)

大家さんとしては、 月100万円で貸していれば、12ヶ月で1200万の収入があるはずだったわけです。この例で考えると、家賃支援などを入れても700万円位の収入にしかなっていない可能性もあります。こうなると支払われた部分のほとんどが税金に消えてしまう例も出てきそうで、頭が痛くなりますよね。

「実践的な問題ですが、まず確定申告は通例では3月15日までですが、締切が1カ月延び、4月15日まで延長されることが決まっています。ただし、新型コロナが理由であれば、さらに確定申告を伸ばすこともできます。たとえば極端な例では、今年の12月になってから確定申告をするというのでも構いません。

その場合、遅れることを事前に申告する必要はなく、確定申告をするときの申告書に、「新型コロナの影響により申告遅延」などと書けば問題ありません。

遅れた場合のデメリットとして、銀行から申告書提出を求められたときに出せないことや、住民税が遅れてやってくることなどがあります。ですので、遅らせる選択をする場合には自分でやらず、税理士に任せた方がよいかも知れません」

確定申告を遅らせたからといって昨年の資金繰りが変わるわけではありませんが、遅れた分を払ってもらってから確定申告をすれば、税金を大家さんが工面しなければならないという切ない事態は避けられます。また、他に何らかの策を思いつくこともあるかもしれません。

もちろん納税は義務ですし、払わないわけにはいきません。ですが、もらっていないのに先に負担するのは厳しいもの。待って払ってもらえる可能性があるなら、それを待つくらいの猶予はもらえるということです。

最後に

厳しい年となった2020年。年が明けてワクチン接種も始まり、早く活気ある日常がもどることを願ってやみません。異例な点も多い今年の確定申告ですが、まずは粛々と伝票整理をすすめましょう。
(毎年、確定申告の時期になると、「今年こそ毎月整理きっちりやることにしよう」と思うのは私だけではないはず・・・笑)

原田園子

原田園子ディレクター

投稿者プロフィール

「不動産の学校」のディレクター兼ライター。
住宅メーカーや不動産業者をクライアントに持っています。
不動産関連の取材実績も多数あり。
不動産投資から日々の暮らし記事まで、幅広く担当します。

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